あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

まさにゲームを楽しんだ気分『ゲームの名は誘拐』東野圭吾著

現在放送中のテレビドラマは早々と脱落してしまったが、東野圭吾さんの小説ではあまりはずれだったことはないように思う。この作品も、久々の推理小説だったこともあり、夢中になってあっという間に読み終えてしまった。

 

広告会社の敏腕クリエイター佐久間は、これまでにした仕事はみな世間にも評価され、クライアントにも信頼されてきた。そんな彼が、絶対の自信をもって取り組んでいた大会社日星自動車のイベントプロジェクトから突然外されてしまう。どうやらクライアントである日星自動車の副社長葛城の鶴の一声だったらしい。

 

プライドを傷つけられ憤懣やるかたない佐久間の目の前に、その葛城家から家出をしてきた娘樹理が現れる。どうやら葛城の女性関係で家庭は複雑な事情を抱えているらしく、樹理は「私を誘拐したことにして、あの家からお金を巻き上げて欲しい」と言い出す。

 

こうして葛城に報復したい佐久間と、まとまった金を手に家を出たい樹理との狂言誘拐のゲームが始まる。

 

頭の切れる佐久間の練り上げる身代金をめぐる交渉や受け取り法にぬかりはなく、ことごとく事態はうまく進むのだけれど、相手の葛城の様子や警察の動きがどうにも腑に落ちない佐久間の心には、常に疑問といささかの不安とがつきまとう。スマートな主人公にすっかり感情移入してしまっている読み手は、一緒にドキドキする。計画のどこかにもれがあるのか?敵は何を企んでいる・・・?

 

 

本作品は2007年に映画化されている。主人公佐久間を藤木直人さん、樹理を仲間由紀恵さんが演じている。佐久間の藤木さんはイメージピッタリだ。仲間さんは最近のママになって少々ふっくらしたイメージが強いけれど、17年前ならこれもやはり適役かも知れない。

 

ただし、面白いロールプレイングゲームのように、遊園地のアトラクションのように、読んでいる間は夢中になってしまうけれど、読み終えて感動するとか余韻が残るという作品ではない。念のため。

 

 

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ロールプレイングゲームとはすっかりコンピューターゲームの一種と思っていたが、元々は卓上で紙と鉛筆、サイコロを用いて行うゲームだったのだそうだ。ファミコンおおはやりだった昔、我が家の次男はあまり機械のゲームには興味がないようで、当時はやっていたようなゲームを真似て自分でノートに創作し、友達にさせて喜んでいた。私は内心こういうゲームを紙の上で作る次男を「オモシロイ子だ・・・」と思っていたが、結構彼は王道のことをしていたのかも知れない。

 

サイコロと言えば、

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懐かしいサイコロキャラメル。子供の頃このキャラメルの甘さがとても好きだった。でもたしか1個5円もするので、1日のお小遣いで1個か2個しか買えず、お腹のくちくなるものを選ぶか、うっとりする甘さを選ぶか、悩んだ思い出のお菓子。これは地域限定販売バージョン。