あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

コロナ禍中の防災訓練

11月の第四日曜日。今年も地域の防災訓練の日がやってきた。主催者の話では、今年はやめようかという意見もあったが、こういう時だからこそ、感染症対策を織り込んだ訓練をしようということにしたのだそうだ。

 

そんな主催者の思いをくんでか、例年この日は寒くて大変(かつて私は冷えすぎてあとで具合が悪くなったこともあった)なのだけれど、今年は暖かく、会場の体育館をずっと開け放して行っても、全く問題なかった。

 

参加者は例年の半分ほど。いまや当然の習慣となった非接触式体温計での体温測定と、手指の消毒をして受付を済ます。そして、避難所で使用するタイプの問診票に記入して、問題なければ、1.5メートルほど間隔をあけて並べられた座席につく。

 

開催時間もなるべく圧縮したいとのことだったが、地域の防災担当者の紹介時は、ハンドマイクをいちいち除菌ティッシュで拭いてから次の人に渡すので時間がかかった。せっかく拭いたマイクをまた手でつかんで次の話者に渡すのでは、あまり意味がないような気がした。菌やウイルスは目に見えないので、習慣化してしまうと除菌作業は形式的になりやすい(まして「マスク会食」なんて気休めもいいところだろう)。

 

それでも、この訓練に参加するたび何かしら発見や学びはある。特にこのところ日本列島は大きな災害続きなので、防災用品の分野の進化は著しいようだ。最近、ドラマ『心の傷を癒すということ』や『監察医朝顔』の再放送で、阪神淡路大震災東日本大震災時の避難所風景をドラマの中で目にしているので、今日の防災装備品を見て、やっとここまで・・・という思いを強く感じた。

 

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バッグを開くと、ほとんど自動的にこのテントが開く。更衣室やあるいは感染者の個室として使うこともできる。このテントがこの避難所となる小学校の防災倉庫に4張り用意されているそうだ。

 

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上の写真のプライベートルーム用のテントは男性2人で作業していたが、こちらの間仕切り用は女性2人でも1分もかからず広げ終わった。

 

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ご覧の通りトイレ。

 

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段ボールベッド設置中。

 

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周りを囲った段ボールベッドは結構落ち着けそうだ。地元選出の衆議院議員(といっても地方区では自民候補に敗退、比例復活)は身長180センチ。ぎりぎり足を伸ばして寝られた。重さは200キロまで対応とのこと。ちなみに枕も段ボール。

 

『心の傷を癒すということ』の中に、避難所で疲れた様子の高齢女性に主人公が「眠れてますか?」と声をかけると、「あんたもここで寝てみ。硬いし、冷たいし・・・」という返事が返ってくるシーンがあった。せめてこの段ボールベッドや視線を遮る間仕切りがあったなら、と思う。あの頃の日本の避難所は人の暮らす場所ではなかった。と言っても、東日本大震災はまだひと昔にすらならない最近のことなのだ。

 

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胸の高さほどの段ボール製の間仕切りだけれど、不思議なくらい煙が隣のスペースに回らないというデモンストレーション。視覚に訴えるこの実験は非常にインパクトがあった。 いくぶんでも心のプライベート空間を確保できるうえに、風邪などの飛沫の飛散防止にも効果があるのではなかろうか。

 

 

 

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おみやげは例によって期限の迫った防災用品。参加者が例年の半分だからか、今年は2個ずつ。右上のおしぼりみたいなものは、入浴できないときの清拭用紙タオル。