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こういう引き締まったドラマが増えたらな!『ノースライト』

先々週と先週の土曜日、前後編で放送されたNHKのドラマ『ノースライト』を見た。傑作だった『64(ロクヨン)』と同じ、横山秀夫さんの原作。横山さんの作品は何作か読んでいるが、この素晴らしいドラマの原作は、どちらも残念ながら私は未読だ。横山作品は原作も良いけれど、映像化されたものも良作が多いように思う。

 

さて、そのドラマだけれど、前後編でたった2時間半ほどということもあってか、非常に引き締まった内容になっていた。1クール10回から11回続く連続ドラマや、半年続く朝ドラなどには、一人で集中して視聴する私にとって、往々にして引き延ばし策かと思えるような無駄なエピソードが見られるが、そういうものがなくスッキリしていた。

 

妻子に去られ少々人生に投げやりになっている建築家の主人公に西島秀俊。その去っていった妻を宮沢りえが演じていて、あら西島さん、『きのう何食べた?』で憧れの女優さんだった「三谷まみ」さんと、「元」とはいえ夫婦役良かったねと、『きのう・・・』を見ているものには面白かった。

 

物語は主人公の建築家に「あなた自身が住みたいと思う家を作ってください」という依頼が来て、しかも引き渡した何か月かのちに訪れると、その依頼主一家は完成したその家に住んだ形跡がなく、ブルーノ・タウト作と思われる一脚の椅子だけが残されている・・・という不思議な状況から始まる。

 

父親がダムを造る仕事に携わっていたため、全国を転々として育った主人公は、子供の頃の思い出につながる、北からの光が入るノースライトの家を作る。この物語の核心となる家と、その北側の窓から見える浅間山信濃追分の風景があまりに静かで美しく、てっきりCGや合成だろうと思って見ていたのだけれど、スタッフブログによると、実際に信濃追分で適した場所を探し、セットの家は10人以上の大道具スタッフが1か月以上かけて作ったのだそうだ。

 

この現実感の薄い不思議な家が、物語のミステリアスな雰囲気を終始盛り上げ、いったいこれから何が起きるんだろう、一家失踪の裏にはどんな事件が・・・と、見る側を引き付ける。

 

後編で謎がしだいに明らかになっていく過程で、主人公の父親、依頼主の父親、主人公と月に一度面会する娘との関係、離婚後の失意の主人公を助けた、友人の建築事務所経営者とその息子との関係など、4人の父親の姿が描かれる。置かれた状況も、親子の在り方もそれぞれだけれど、少々の不器用さはあっても、みな、子への愛情あふれる父親ばかりで、このドラマは父親像の物語の側面を感じさせる。

 

演技派の徳永えりさんや、この役のために金髪にしたという竹財輝之助さんなど、もったいないとさえ思える脇役俳優さんの使い方で、贅沢なドラマだと感じさせるが、そんな中でも、やはり改めて実感するのは女優宮沢りえさんの存在感だ。彼女が演じることで、その役が一回りも二回りも深く見えるように思う。こういう魅力はどこから来るのだろうか。

 

 

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ドラマではこの窓の向こうに、くっきりと美しい浅間山が見える。

                  (画像はデイリー新潮さんのサイトからお借りしました)