あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

静かであたたかなドラマ『ハルカの光』

また、NHKのドラマ班が素敵なドラマを作ってくれた。『ハルカの光』。題名だけではどんな物語か想像もつかないまま見たが、ハルカは主人公の女性の名前であり、光は照明のことで、西谷(古舘寛治)という男の経営する個性的な名作照明器具を売るお店を舞台に物語が展開する。

 

やわらかな間接照明を思わせる、静かで心の落ち着くドラマだ。私はインテリアが好きだけれど、なかでも照明は好きなアイテムで、このドラマに登場するような名作照明とまではいかないものの、フロアスタンドやテーブルスタンドなど、いくつも使っている。

 

どちらかというとこのドラマに登場する照明はモダンなタイプで私の好みとは違うのだけれど、作家が思いを込めて作ったものだけに、ちゃんとあたたかさが伝わってきて心をつかまれる。

 

各話で描かれる物語も、しみじみと心にしみる。第一話はイッセー尾形演じる寿司屋の店主、第二話は塩見三省の教授と渡辺大知演じる教え子カップル、第三話は駿河太郎の落ち目のプロボクサー、それぞれの愛の物語だった。

 

昨夜が主人公ハルカの過去が描かれた第四回で、もう来週は最終回。残念。この静かであたたかなドラマをもう少し見ていたかった。

 

 

ところで、このドラマで照明器具の店のオーナーを演じている古舘寛治さんだが、私はこの俳優さんを『リーガルハイ』で初めて見たときから好きになれずにいた。芝居もあまりうまいとは思えないのに、それからしばしば目にするようになり、なぜこの役者さんが売れるのか不思議だった。

 

それが、なぜか『コタキ兄弟と四苦八苦』の頃から好感を持つようになり、今回のこのドラマなど、画面の中に彼がちらと収まっているだけで雰囲気が増す感さえある。整った顔立ちの俳優さんでは出しえない味や雰囲気が、個性的な面構えの人にはあるものだとしみじみ思う。ひとたび好感に転じれば、決してなめらかとは言えないせりふ回しまでも、味わいになってくるから不思議だ。

 

 

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