豊橋スタンディングの”言い出しっぺ”が今年も個展を開いた。いつものスケッチではなく、今年は「レトロなモノがしゃべり出す」と題して、自宅にあった古道具などを使ったインスタレーションのような作品群だ。
アシのない私や周辺のスタンディング仲間4人を、芸術家自らが車で送迎してくれるという贅沢な扱いで鑑賞してきた。
古い鳥籠を使った、今回の個展を代表するような作品「2021」。そばにはオーウェルの小説『1984』が置かれ、籠の中には頭に「12桁の数字」を書かれた紙製の人形(ひとがた)が入っている。鳥籠には黒い手袋が二つ付けられていて、その一つには「Big Brother」の文字。
黒電話を使った「下々でございます」
上の方を見ると、帽子と何やら特徴的な口元・・・。
政治だけでなく、「させていただきます」の乱用を皮肉ったものや、断捨離を考えさせるものなど、広く現代の世相を風刺した作品群に、思わずニヤリとしたり頭をひねったり。
会場が喫茶店に併設されたギャラリーなので、作品を楽しんだ後はそちらに移動しておしゃべりタイム。今はスタンディングに参加しなくなってしまった人ばかりなので、実に久々の顔合わせ。”言い出しっぺ”の個展のお陰で、毎年同窓会ができるようなものねと皆が言い、”言い出しっぺ”の創造性に感謝する。
スタンディングのPeace展始め、様々なイベントをいつも取り上げてくれた地元紙が、今回も何紙か大きく取材・報道してくれている。
豊かなときは時計の進みもゆっくりに感じ、実り多い2時間半ほどの外出だった。
会場のギャラリー茶房田園さん。10日まで開催。