あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

コインとコーイン?

日本語教室だった。外国の方と話していると、思いがけない発見や気づきが得られて面白い。

 

今日の学習の中に、イラストを見て会話を考える問題があった。問1のイラストは、レジのところで、Aさんは財布をのぞいて小銭がなくて困っている顔で、隣にいるBさんに話しかけている様子を描いていた。

 

ずっと丁寧な言い方を学習してきて、先週からくだけた会話を習い始めている。ここは、Aさん「小銭、ある?」Bさん「あるよ」Aさん「じゃ、ちょっと貸してくれる?」あたりが求められるところだ。

 

ここで、私は「小銭」の説明として「コイン」という言葉を使ったのだけれど、そうしたら、学習しているFさんが「小さな会社で働いている人、コイン?」と質問してきた。小銭の話からなぜ人間の呼び方になるのか、しばし私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになった。

 

何回かのやりとりで判明したのは、「工員」という言葉だった。Fさんが意図していたのはこれらしいが、さらに言えば「行員」もある。発音は「コイン」と「コーイン」。確かにとても似ている。日本語では伸ばすか伸ばさないかは大問題だけれど、言語によっては強弱は問題でも、伸ばすかどうかはあまり重要でないこともある。

 

今日の学習の中に出てきた言葉に、「聞いた」というのもあった。これも「キータ」を伸ばさないと「キタ」となって、まったく別の言葉になってしまう。丁寧体で学習していた時には「キキマシタ」「キマシタ」であまり問題にならなかったことが、常体になることでこのような類似が出現した。

 

日本人の中に入って働いている人なら、カジュアルな常体の会話も聞きなれるだろうが、日本語学習をしている外国人にとってくだけた言い方は意外に難しく、日本人が気づかない落とし穴もあることを発見することができた。

 

日本語教室のお手伝いをするようになってもう3年以上たつが、今まではたまたまこのカジュアルな会話の箇所までいかない初級学習者と、日本語検定の1級を目指すような上級者を担当していたので、このことに気付かなかった。

 

異文化交流はいろいろと楽しい。

 

 

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おフランスの猫は「ミャウ」と鳴くのよ。(画像はねこちゃんホンポさんのサイトから)