あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

『サムライカアサン』に泣かされる

城島茂さん主演の『サムライカアサン』、以前も意外に良いと取り上げたけれど、先日放送された最終回の録画を見て、号泣させられてしまった。

 

城島さん演じる「オカン」が溺愛する一人息子の武士が、高校を卒業し、一人暮らしをするため家を出る、その引っ越しの日までの顛末を描いていた。

 

荷造り段階の母親と息子のやり取り。最後の夕飯の食卓で珍しく素直に母親の料理に「うまい、うまい」を連発しながら食べる武士。準備を終えて寝ようとする武士に、子守唄を歌ってあげるという母親。そんな「オカン」の気持ちを汲んで、小さな頃から聞き馴染んだ彼女のオリジナルの子守唄を聞きながら眠る武士。ところどころボケとツッコミを入れながらホロリとさせる。

 

そして、母親なら誰でも感情移入必至の、息子が生家をあとにする場面。のほほんとした風情の父親役よゐこ有野晋哉さんもとても良いし、時々ボケながらも城島さんのせつなさが痛いほど伝わってくる。いつも憎まれ口をきいていた息子の、抑えた表情ながら親への感謝を感じさせるところもいい。

 

この素晴らしい感動的場面で終了・・・と思いきや、このあとまたとんでもない笑えて泣ける珠玉のおまけ。

 

最後の場面。土手に座った「オカン」が「武士、聞きたいことがあんねん」と言う。「18年、おもしろかった?」息子は「うん、めっちゃ!」とほほ笑む。母親は「お母ちゃんも!」とほほ笑む。

 

ああ、すべての子供がこの武士のように深く深く愛されて育ってほしい。こんなに愛され、それをこんなにも素直に表現されて育ったら、生きていくうえでどんなに心強いことだろうと思う(それは必ずしも血のつながった親でなくても)。

 

ただ、この物語の母親は今は少数派の専業主婦だ。しかも夫は愛も理解もあるほんわかと温かな存在。現代のメルヘンのような家庭で、だからこそ城島オカンは、いつもこんなにもあったかい人でいられたのかもしれない。

 

昨日の朝のニュースで、「寿退社」とは、「めでたく定年を迎えて会社を辞めること」と思っている世代が出現していることを伝えていた。

 

私の若い頃は、まさにこの寿退社が女性の憧れの時代だった。女性が学業を終えて就職するのは、「腰掛け」とも言われた時代だ(この少し前は、良家の子女は学業を終えたら花嫁修業をして結婚するもので、就職ということすら選択肢になかったらしい)。

 

これからこの国は益々沈んでいきそうな時代、専業主婦という層は好むと好まざるとにかかわらず、減っていくばかりだろう。性別に関係なく、誰もが自分の望む生き方のできる社会であってほしいと思うが、子育ては、余裕のある状態でなされてほしい。

 

余裕とは、経済・時間・精神、すべての面でだ。女性ばかりでなく、楽しい育児に男性も等しくかかわれるように、男女ともに、労働時間や有給休暇のさらなる改善や、保育や子育ての行政の充実を願う。

 

でも、子ども家庭庁にはあまり期待できそうもないなあ・・・。

www.nikkei.com

 

 

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おおらかそうな母猫さん。 (クレイジーさんのサイトより)