正月3日の夜、今年もNHKで正月時代劇の放送があった。今回は『幕末相棒伝』ということで、坂本龍馬と土方歳三が将軍襲撃事件の犯人を突き止めるという密命を受け、対立しながらも、2日という期限の中で捜査するという、大胆な設定の物語だった。
その坂本龍馬は永山瑛太さん、土方歳三は向井理さんが演じた。昨年の正月時代劇では泰然とした僧侶を好演した瑛太さんは、むさくるしい風体で傍若無人な龍馬を生き生きと演じ、一方端正な写真も現存する新選組の厳しい副長歳三は、向井さんにぴったりだった。
原作は五十嵐貴久著の小説『相棒』という。大胆な設定と、将軍暗殺未遂事件の犯人捜査の過程で、西郷隆盛や桂小五郎、岩倉具視などとの絡みもあり、幕府と薩長、公家と武士の対立はもちろん、しだいに居場所がなくなっていく時代の流れの中で、なんとか生き残っていこうとする武士たちのあがきも描かれる。
また、龍馬たちが出入りする料亭の女中おしの(堀田真由)は、蛤御門の変で両親を亡くしており、激動の時代の中で翻弄される庶民の姿を象徴する。金のために龍馬たちの情報を売りながら、龍馬の言う、誰もが平等に生きられる新しい時代の到来を熱望もしている。
敵同士とあって、捜査を命じられた当初はぶつかることの多い二人だが、正義の形は違っても、国を思う心や卑怯な行いを嫌うところは同じで、命がけの探索の中で互いに相手への信頼や敬意が育っていく。
主人公の二人や、歴史上の出来事の真実がどうであったかは別にして、ドラマとしては大変面白く見ごたえがあった。
高画質4Kや100分の拡大版の放送も計画されているとか。
昨年の正月時代劇についてのエントリー:
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