あとは野となれ山となれ

たいせつなものは目に見えないんだよ

5月も半ばのどんより空模様と『十七歳の帝国』

5月も半ばを過ぎ、インテリアもすっかり夏仕様になったけれども、冷え性の私は、いまだ足首の冷えを感じないで過ごす日はいくらもない。今日もまたどんよりと雲がたちこめ、足首ばかりか膝までいくぶん冷えを覚える。

 

今年の皐月も、こんなはっきりしない天候のうちに過ぎてしまうのだろうか。世界中を覆った暗雲がなかなか晴れないように・・・。

 

 

NHKのドラマ部門がまたまた挑戦的な作品を送り出している。

 

舞台は202X年。日本は深い閉塞感に包まれ、世界からは斜陽国の烙印を押されている。出口のない状況を打破するため、総理・鷲田はあるプロジェクトを立ち上げた。「Utopi-AI」、通称UA(ウーア)構想。全国からリーダーをAIで選抜し、退廃した都市の統治を担わせる実験プロジェクトである。若者が政治を担えない理由は、「経験」の少なさだと言われてきた。AIは、一人の人間が到底「経験」し得ない、膨大な量のデータを持っている。つまり、AIによっていくらでも「経験」は補えるのだ。それを証明するかの如く、AIが首相に選んだのは、若く未熟ながらも理想の社会を求める、17才の少年・真木亜蘭(まきあらん)。他のメンバーも全員20才前後の若者だった。真木は、仲間とともにAIを駆使し改革を進め、衰退しかけていた地方都市を、実験都市ウーアとして生まれ変わらせていく―。

(公式サイトの番組紹介文)

 

前市長(田中泯や市会議員(岩松了)が現在のこの国の政治を象徴する存在として描かれ、鋭い告発になっている。第1話では若い総理をいくぶん冷ややかに眺めていた、アドバイザー役の副総理(星野源)が、2話では時折り優しい目をしていた。

 

まだ2回まで進んだところなので、今後もこの17歳の総理が、当初の理想通りの政治を貫いて行けるのか、期待を持って見守りたいと思うが、全5回なので、しっかり見ていないとあっという間に終わってしまいそうだ。

 

これだけ人工知能やインターネットが発達したのだから、現実世界もそろそろこうした方向を踏まえて、政治の在り方を考え直してもいいように思う。ネット投票はもう随分前から希望する声が上がっているし、導入すれば革命的に投開票の経費の節約ができることだろう。そしてそれ以上に、AIならば悪いことづくめの「戦争」などという選択肢は、決して選ばないだろうから。

 

それにしても、このドラマで主人公の17歳の総理を演じている神尾楓珠君は、私の見ているものだけでも、現在放送されている連続ドラマ3本に出演しているという売れっ子ぶりだ。『ナンバМG5』の、裕福な家庭の子ながら家族の温かさに飢えている一匹狼のヤンキー、『先生のおとりよせ』の金髪ロンゲの宅配便ドライバー、そしてこの作品の、恵まれない生い立ちゆえに弱者のための政治を目指すクールな高校生と、役柄も非常にバラエティーに富んでいて、どの役もそれぞれに魅力的だ。

 

さて、実験都市「ウーア」は、皐月の空にかかった雲を吹き払うような、誰もが幸せに暮らせる街になるだろうか。

 

 

 

 

 

結構長持ちしている青いカーネーション