あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

折しも社明運動月間『プラージュ~訳ありばかりのシェアハウス』

7月は「社会を明るくする運動」の強調月間になっている。これは犯罪や非行の防止と、犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場で力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動だ。注意してみると、街のあちこちにのぼりが立てられたり、電車の中などにポスターが掲示されている。

 

これが今年のポスターのようだ。

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だからというわけではないだろうが、2017年にWOWOWで制作されたドラマ『プラージュ~訳ありばかりのシェアハウス~』が、先月から今月の初めにかけて、深夜に東海テレビ(フジテレビ系)で放送された。

 

失恋でやけになり泥酔した挙句、悪い男たちに乗せられて覚せい剤を打ち逮捕されて前科者になってしまう、呆れるほど軽い、不動産会社勤務の主人公吉村貴生を星野源が演じている。会社はクビになりおまけにアパートが火事になって住むところも失ってしまうが、どんないきさつがあろうと前科者に社会は冷たく、思うように仕事も住む場所も見つからない。

 

たどりついたのは、訳ありの住人ばかりが暮らすシェアハウス「Plage」。朝田潤子(石田ゆり子)という女性が営んでいて、1階は食堂、2階がシェアハウスになっているのだが、簡素なワンルームにはドアがなく、カーテンがかかっているだけだ。

 

回を追うごとに住人たちの重い過去が明らかになっていくのだが、罪を犯した人・前科者と言っても、このようにして犯罪者になり、そして刑に服した人もいるのだという、当たり前のことに胸を突かれる。知らずしらず、世の中の犯罪者とか前科者というイメージに影響されている自分に気づかされる。

 

再犯率が高いとは聞くが、なかにはこうした世の中の生きづらさに追い詰められ、やむなくまた罪を犯してしまうケースも少なくないことだろう。プラージュという場所に吹き寄せられてきたような人たちに、温かく寄り添う潤子役は、柔らかさの中に芯の強さを感じさせる石田ゆり子さんがぴったりで見事だ。

 

見事と言えば、星野源さんも、冒頭の嫌になるほど軽くて反省のない男から、住人たちの壮絶な人生を知り、また、守ってあげたい人ができることで強く責任感のある男性に成長していく変化が見事だった。

 

重いテーマで、途中脱落しかけたけれど、登場人物の誰もが魅力的だったし、俳優さんたちの演技もよくて最後まで見通すことができた。そして希望のあるラストで5回を見終えてみれば、とても優良なドラマだった。

 

 

このお店の雰囲気も、ちょっとレトロであったかくて、とてもいい。