あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

今日のささやかな楽しみ『石子と羽男』

2015年以来、政治屋と闘っているという意識があるが、統一教会問題が浮上してからというもの、そのバトルはいっそう緊張を強いられる気がして、疲労困憊気味だ。

 

これまでの7年間にも、これだけの証拠が出たからには今度こそ追い詰められるだろう!と思うことは何度かあり、いよいよ安倍政治も終わりだ!と張り切って国会前のデモに飛んで行ったことさえあった。

 

今回だって、カルトだ反社だと言われる宗教団体とのつながりが、これだけ立証されたら辞職せざるを得ないでしょと思うのに、かの人物の負の遺産のせいで、恥や外聞のなさを何倍にも補強してしまった政治屋たちは、平然と知らぬ存ぜぬとその座に居座り続け、こちらの神経を逆なでし続けてくれる。

 

そんなむなしい疲労の積もる日々だけれど、今日は『石子と羽男』があると思うと、ほんのちょっと救われる思いがする。録画で見るので、実際に見るのは明日ではあるが。

 

私にとって今期の夏ドラマはどれもいま一つ・・・と思っていたが、『石子と・・・』は回を追うごとに面白くなってきた気がする。『相棒』がヒットした影響か、主人公を変人設定にするドラマが多く、その割にその設定が効果的だと思えることはあまり多くない。

 

けれどもこの『石子と・・・』の場合、父が裁判官、姉は検察官という優秀な家庭で、司法試験には合格したものの、ダメな子扱いだった羽根岡佳男(中村倫也)が、自分を保つためにブランド物で身を固め虚勢を張って「優秀過ぎる変人」を作っているのは無理がない。そして回が進み、周囲に認められ自信がつくにしたがって、服装もカジュアルになり、作っていた変人キャラがはがれて駄々っ子のような可愛さが出てくるさまが楽しい。

 

もう1人の主人公石子こと石田硝子(有村架純)は、東大法学部を首席で卒業する秀才でありながら、司法試験に4回も落ちている崖っぷちパラリーガルだ。ひょんなことから弁護士事務所を手伝うようになった高校の後輩の大庭蒼生(赤楚衛二)は、当時から優等生だった彼女に憧れているが、優等生はいまも健在で、真面目過ぎるほど真面目、「石子」の所以であるが、有村さんが演じると、そのカタブツの石子もチャーミング。

 

毎回身近なもめ事を取り上げて、一話で完結させる脚本も素晴らしいが、中村倫也さんの変わっていくさまもドラマの見どころの一つになっている。第5話はとりわけ印象的だった。熟年の隣人同士を演じた中村梅雀さんと風吹ジュンさんのラブストーリーが出色な脚本も見事だったが、無事もめ事をまとめての帰り道、石子にやり込められた羽男が、「ヤダッ!」と反発するシーンは、倫也さんの可愛さがさく裂した。

 

中村倫也さんは役柄によって大きく印象の変わる、いわゆるカメレオン俳優だとは思っていたが、新作を楽しみにするくらい好きな上野樹里さんのダイワハウスのCМで、あの樹里さんに頼る情けない男の子を演じているのが、中村倫也さんだとは全然気が付かなかった。このドラマの役は、それとはまた一味違う魅力を出している。

 

 

快刀乱麻を断つヒーローはいない、いや、ヒーローは私たち丸腰の市民であるうえ、一番の味方であるはずの「皆様のNHK」がすっかり政府広報と化している今、金と権力を手放してなるものかとしがみつく政治屋たちとの闘いは、まだまだ長期戦になることだろう。うまく気分転換を図りながら、諦めず、粘り強く、取り組んでいきたい。同じ思いの人々と励まし合いながら・・・。