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こんな感じも一つの生き方『こんな感じ』群ようこ著

更年期の症状に悩む、中年独身女性3人の日常。一番年上のミユキは54歳、メイクアップアーティスト、51歳のマキコはイラストレーターで49歳のヒロコは物書きだ。ミユキは社員も抱え、しばしば海外にも飛ぶ忙しい身だが、マキコとヒロコは在宅で仕事をしている。

 

体調が最もひどいミユキは、ある日突然マキコの部屋に同居させてほしいと言って引っ越してくる。そしてそのマンションの隣の部屋が空くからと、ヒロコにも引っ越してくるよう強引に説得してしまい、隣り合った2部屋に女3人が暮らすことになる。そんな日々を綴る連作短編だ。『なたぎり三人女』という前作があるらしく、3人が出会ったきっかけは触れられていないが、この作品から読んでも問題ない。

 

自分たちの体調不良があったり、親の入院もあったりはするが、群さんの作品らしく、特別ドラマチックなことも悲劇的なことも起こるわけではない。一番ドキドキしたのは、マンションの3階に暮らす彼女たちの部屋のベランダに現れるようになった野良猫のむくちゃん(体も顔もむくむくしている)が、喧嘩をしたらしくボロボロにやつれて現れたところくらいだ。

 

私は幸いにも更年期はほとんど自覚症状がないくらいで済んでしまったので、40代や50代でこんなにしんどいのかしら・・・という気がしたが、ひどい人は「こんな感じ」なのかもしれない。

 

いくら仲が良いと言っても、いざ同居とかすぐ隣でしょっちゅう顔を合わせるとなれば難しいこともあるのではないかと思うが、この3人はそろって性格がサバサバしているのか、格別もめることもなく、また忙しいミユキは別としても、時間的にも経済的にも余裕があるのか、むくちゃんの心配くらいしか心を痛めることはない。

 

こんなにもめ事もなく快適に暮らせるのなら、独身で気の合う友人と共同生活をするという「こんな感じ」もいいものではないか、と思ってしまう。まあ、私のような、人間のできていない我がまま者は、難しいかも知れないと思うけれど。

 

ちょっと気になったのは、3人がむくちゃんを愛するのはいいが、精をつけさせようと生卵や牛乳を与えるのはどうなんだろうという点だ。たまたまむくちゃんはどちらも平気だったようだが、おなかを壊したりすることもあるのではないだろうか・・・と、これは年寄のいらぬお節介。

 

 

ごく軽い読後感。これもうまくドラマにすれば、『パンとスープと猫日和』のような良作になるのかも知れない。