先月の終わりごろの放送だったようだが、NHKの『ドキュメント72時間』で、北海道知床半島の秘湯での72時間があった。漁師を始めとする地元の人たちが協力して作った、無料の露天温泉が今回の舞台だ。
その温泉には、仕事を終えた地元の人も観光旅行の人も来る。毎日来ているという人もいる。そうしてベテランの世話焼きさんが、初めてで要領の分からない人や外国の人に使い方や心得を教える。
そんななか、ベテランのおじいさんにこっぴどく叱られている人がいた。観光で都会から来た若者だ。いきなり湯船に入ろうとしたらしい。「尻にウンチくっつけてんじゃないか」と言われた若者は、浴槽のふちに腰を下ろして仏頂面をしていた。その若者の表情が忘れられない。
現代の明るく清潔なトイレしか知らない若者には、「御不浄」とか「はばかり」と呼ばれる暗くて汚いトイレのイメージは湧かないだろう。近頃は公共トイレも随分きれいになっている。生まれたときからシャワートイレが当たり前だった世代には、お尻が不潔だという意識すらないかもしれない。おじいさんの𠮟責はおそらく非常に不本意で、業腹だったことだろうと推察される。いかにもそんな顔つきだった。
もちろん、下を洗ってから湯船につかるのは昔も今も変わらぬ共同浴場の基本のマナーではあるけれど、何でこんなに叱責されなきゃならないんだという顔付をしていた、あの若者の気持ちはちょっと分かる気もする。
こんなふうに、若者と高齢者ではもう全く「常識」というものの基盤から違ってしまっているものが、いっぱいあることだろう。
昨夜は例の年金制度の生みの親とかいう人の、信じられない暴言をネットで見て、ああ、こういう感覚を共有している自由民主党という団体に、長年国を委ねてきたのだなと、絶望に近い気持ちになった。
花澤武夫 初代厚生省
— あいひん (@BABYLONBU5TER) 2019年9月13日
年金課長による犯行声明文#厚生年金保険制度回顧録 #花澤武夫 pic.twitter.com/6UZVtd975y
【追記】このツイート、3年も前のものだったのに私は知らず、昨夜初めて目にしてびっくりしてしまった。まあ、もちろんこうした意識で年金事業に携わっていた人が少なくなかったであろうことは、過去のデータが消えたり、窓口で収納したお金が消えていたことなどからもうかがえてはいたが、それにしてもこうまではっきり口にしていたとは!
半分女性になれば変わる常識がある。20代や30代の若者が半分入れば変わる常識がある。政治の世界に、もっともっとこうした異分子を入れていかなければいけないと思う。60代や70代の男性及び、それらのおじ様方の思いを代弁するだけの「エセ女性」だけでは、現在のような狂った政治は変わらない。
投票に行かない半分の人が投票に行けば・・・。そういう人たちが、思わず投票に行きたくなってしまうような魅力を持った候補者が出てくれば・・・。いや、そんな魅力的な人は現在の汚れきった政治家を見て、その世界を志すはずはない・・・。と、やっぱり堂々巡りになってしまう。
死ぬまでに、まともな感覚の人が政治をする世を見ることができるのだろうか。