あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

子供たちのダンスに目を見張る『マチルダ』

ずっと掃除モードにスイッチが入らずにいたが、今週は毎日一か所程度のペースで進め、小さな家でもあり、一人の静かな暮らしで大した汚れでもないし、大掃除とはとても言えない手抜き仕事でもあって、なんとかほぼ終了と言える状態になった。

 

イギリスの舞台で評判を得、ブロードウェイまで進出したミュージカル『マチルダ』の映画版が25日からネットフリックスで配信になり、早速鑑賞した。

 

ストーリーは、望まれない子供として生まれたマチルダ(アリーシャ・ウィアー)が、両親の虐待とも言える対応のもとで育つが、生まれ持った大変な能力と不屈の心で、優しい教師や友人たちと、監獄のような学校で自由を得ていくというものだ。

 

このマチルダが入れられた学校というのは、鬼のようなトランチブル校長が支配しているのだが、この鬼校長を演じているのがエマ・トンプソン。キャストには確かに彼女の名前があったけど、どの役なの?どこに出ているの?と思うほどの変貌で鬼校長を演じている。ほとんどすっぴんに体は詰め物?でアニメのキャラクターのような風体。

 

この姿で生徒たちを罵り、いじめまくる。

 

チルダは学校に通わせてもらえていなかったのだが、転入初日から天才的な能力を見せ、担任のミス・ハニー(ラシャーナ・リンチ、澄んだ歌声が素晴らしい)を驚かせる。優しく子供たちに理解のあるミス・ハニーは、なんとかこのマチルダの才能を伸ばしてやりたいと願う。

 

一方的に校長の理不尽に耐えるばかりだった生徒たちも、マチルダが一人果敢に戦う姿を見ているうちに勇気を得ていく。それまで全く校長に逆らえなかった生徒たちが、異議を表明して、一人また一人と机の上に立ち上がっていくところは、あの名画『いまを生きる』の感動的な名シーンを思い出させる。

 

 

また、鬼校長と戦うシーン始め、子供たちの集団のダンスが素晴らしい。

 

読書が好きなマチルダが、自分の脳内で紡いでいた物語とミス・ハニーの境涯がリンクしていることが分かり、彼女もまた校長の理不尽によって親の残した家も失っていたことが分かる。心優しいミス・ハニーは、小さな小屋での暮らしでも幸せだというが、マチルダの心にはふつふつと校長への怒りがわき上がる・・・。

 

コンプライアンスで骨抜きになりがちな昨今、この物語でのトランチブル校長の悪辣ぶりは、良識派は眉をひそめそうなほどすさまじい。けれども、校長が凶悪であるほど、子供たちの抵抗は輝く。終盤の雨の戸外での、泥んこになっての生徒たちの群舞はとりわけ感動的だった。