あとは野となれ山となれ

たいせつなものは目に見えないんだよ

変わりゆくもの

「スイカ、店頭に並ぶ姿に変化」とネットニュースの見出しにある。昔四角いスイカというのがちょっと話題になたことがあったが、今度はどんな形に?と思いクリックして見た。そうしたらそんなスイカそのものの形状ではなく、売り方―ブロック売りの話題だった。

 

世帯人数の減少に加えて「即食・簡便」な需要が高まり、スイカ類全体の売上高のうちブロックカット売りの占める割合が、10年前は25%だったが23年には50%以上になったのだそうだ。大量のゴミを出さずに済むという利点も大きいと思う。

 

私が子供の頃は、スイカと言えば大きな玉のまるまる一個に決まっていた。セロファンをしごいたような紐で編んだ網に入ったスイカがやってくると、胸が弾んだ。それを大きな入れ物に入れて水道の水を細く出し続けて冷やし、夕食後などに家族そろって食べる。我が家は両親と私たち兄弟姉妹の6人家族。台所で車座になって賑やかに食べたものだ。大きな一玉が一度に消えた。その楽しさは今も鮮やかに脳裏に刻まれている。

 

それが今や一玉どころか半分とか四分の一さえ敬遠されて、皮なしで三角やブロックにカットされたものが喜ばれる。まあ我が家などもまさにこれなのだけれど。ブロック売りに合わせて、栽培されるスイカの品種も変わってきているそうだ。

 

1人でも食べきれゴミも出ずありがたいが、この式だとプラスチックのゴミは出てしまう。スーパーの店頭に透明ケースの回収箱が設置されているのでそれに入れているが、こうしたリサイクルはどの程度環境負荷が軽減できるのだろう。現代は何を買ってもこういう心配が頭をかすめ、「消費は美徳」なんてお気楽に言っていられた時代が懐かしい。

 

「変わりゆくもの」は、目に見えるものもあれば、こうした「人の意識」という目に見えないものもある。人間の愚かさは太古の昔も今も変わらないかも知れないが、お金に対する執着や弱い人に対する気持ちなどは、現代が一番醜く変化しているかも知れない。

 

四角いスイカ  (boketeさんのサイトより)