ドラマのNHK(と私は勝手に思っている)が、また素晴らしい作品を生んでくれた。『東京サラダボウル』と『バニラな毎日』だ。
多種多様な人種が混在して暮らす社会を、以前はよく「人種のるつぼ」と言ったが、近年は「人種のサラダボウル」が用いられることの方が多いのだそうだ。それぞれの文化が混ざり、一つに溶け合う「るつぼ」ではなく、一つひとつが独立したまま共存する「サラダボウル」。新型コロナの流行も落ち着き(落ち着いたのか?)、再び外国人旅行客はもちろん、技能実習生や留学生が増えている東京も「サラダボウル」になりつつあるとか。
そんな東京は新宿署の緑色の頭をしたちょっとはみだし気味の刑事鴻田(奈緒)と、彼女の捜査に巻き込まれていく警視庁通訳センターの中国語通訳人有木野(松田龍平)の二人を主人公にした『東京サラダボウル』はすでに放送が終了しているが、「外国人犯罪」とひとくくりにされがちな、外国人による犯罪の陰にあるさまざまな事情を丁寧に描き、インバウンドだの労働力不足だのと都合の良いところはあてにして、彼らが助けて欲しい時には放り出す日本という国の冷たさを鋭く描きだしていた。
いっぽう『バニラな毎日』は本日の夜が最終回だ。月曜から木曜の四日間、夜10時45分から15分、朝ドラに対して「夜ドラ」と呼ばれる枠だが、私にはいま一つ魅力に乏しいことが多く、全部見通すことはあまりないのだけれど、今回のこの作品は大好きで、NHKプラスで追いかけた。
せっかく夢を叶えてケーキ店を持ったのに、採算が取れず多額の借金を残して閉店するはめになった白井葵(蓮佛美沙子)。そこに関西弁で少しクセの強い料理研究家という佐渡谷(永作博美)が現れ、お菓子教室を開きたいとうことから物語が展開する。
実はその教室にやってくる生徒は、佐渡谷の姪のカウンセリングを受けている人たちで、菓子作りもカウンセリングの一環のため、毎回問題を抱えた人物が一人でやって来るのだった・・・。
登場する人物たちが、みなそれぞれ心に何かしらの傷や問題を抱え、もがき苦しみながらも他者を思い自分も救われていく。毎回登場する美しくて美味しそうなお菓子と共に、温かな物語に大変慰められた。こういう物語はずっと見ていたい。今夜でお別れなんて寂しい。
蓮佛美沙子さんは『今夜すきやきだよ』の元気なあいこさんも意外に良かったが、やっぱりこのドラマの白井のような繊細な役柄がよく似合う。このちょっとやっかいな白井を好きになる、金髪のロックミュージシャン秋山静を演じた木戸大聖くんも、この役で魅力が開花したように思う。

NHKのサイトより