長男夫婦の家に来たばかりの頃、Tが作っておいてくれたお弁当を昼に一人で食べることが何回かあったが、その後は彼女の仕事が、昼に家に戻って来られるスケジュールが続き、彼女作のお弁当を毎日二人で一緒に食べていた。
けれども、今日はスケジュールが詰んでいて昼に戻る時間がないそうで、久しぶりに一人の昼食。相変わらず美味しいTのお弁当をありがたくいただいた。
先日読み終えたTの蔵書である小川糸さんの『ライオンのおやつ』、主人公は幼い頃に両親を亡くし叔父に育てられた末期がんの若い女性雫だ。私は若くもないし末期でもないが、同じがんを患うものであるし、交通事故で重傷を負った中での病の宣告でもあったため、一時は暗い気持ちになったりしたので、身につまされながら読んだ。
舞台は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島にある「ライオンの家」というホスピス。余命を宣告された雫は、そのホスピスで残りの日々を過ごすことにする。そこは食事の時間も食べる場所も自由で、毎週日曜日には入居者のリクエストした思い出のおやつを再現して出してくれたりもする。
もしもモデルとなったホスピスがあるのなら、こんなに心穏やかに過ごせそうなところにお世話になりたいものだと思って調べたが、残念ながら特にモデルはないらしい。
「ライオンの家」に向かう時には、なぜ自分ばかりがこんな理不尽な人生なのかと心がささくれがちだった雫も、この施設の責任者マドンナ始め個性的な入居者や、島で農業を営む青年タヒチ君などと出会い、しだいに穏やかな心境になっていく(今の私も少々現実離れした責任のない日々を過ごしているあたり、ちょっとこのホスピスでの暮らしと似ていると言えなくもない)。
なくしたものを数えていないで、先の長さを人と比べていないで、今あるものを大切に暮らさなければ・・・と気づかせてくれる物語だった。

週末3人で訪れた、高橋節朗記念美術館の中庭の見事だった紅葉。画像では肉眼の感激を伝えられず残念。
