あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

榎村先生は津軽人だった!

テレ東の深夜ドラマらしいゆるさの『先生のおとりよせ』が、回を重ねるごとに面白くなってきた。なんと言っても、正反対の二人の主人公、小説家の榎村遥華(向井理)と、漫画家の中田みるく(北村有起哉)のバトルが楽しい。

 

今回の第3話では、セクシーな編集長(橋本マナミ)の魅力に負けて、仲の悪い二人がコラボ作品を引き受けたものの、プロットのアイデアがさっぱり浮かばず悩む榎村の部屋を中田が訪ね(二人は同じマンションの隣同士)、協力するとあれこれ話しかける。

 

あげくに、榎村の部屋の乱雑さを見かねた中田(彼はフェミニン男子できれい好き)が、榎村の仮眠中に部屋の整理をしていて、あやまってパソコンの電源を抜いてしまい書きかけの小説を消してしまう。それでなくてもその短篇の締め切りを失念していて、コラボ作品と2つの締め切りが迫り追い詰められていた榎村は怒りが爆発し、ついに中田に向かって言い放つ。「さしねっ!」

 

おお、まさかクールな向井=榎村先生の口から津軽弁が飛び出すとは!そう、榎村先生は津軽人だった(ちなみに「さしね」はうるさい、ということ)。

 

 

北村有起哉さんは昨年の『半径5メートル』でも、ヒロインの同僚である女装の編集者を非常に魅力的に演じていたが、こちらは同じフェミニンでも、無精ひげを生やしたむさくるしいおじさんがパステルや原色のポップなファッションをしているという、『半径・・・』の時のシックで控えめな存在とは大違いだ。絶妙のとぼけた演技に思わずクスッとしてしまう。

 

向井さんも、コミカルな演技が思っていた以上に合っていて面白い。食べ物に焦点を当てたドラマは、そちらに比重が置かれ過ぎるとつまらなくなってしまう(私の場合)が、このドラマはお取り寄せ商品がアクセントにとどまって、脇の人物(トラネコ便の配達員やマンションの大家さんなど)まで個性的で楽しませてくれる。

 

これからこの二人の関係がどうなっていくのか、コラボ作品は無事完成するのか、榎村先生の口から更なる津軽弁が飛び出すのか・・・紹介されるお取り寄せ品とともに興味深い。