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大型犬の誘惑『シャルロットの憂鬱』近藤史恵著

今週は見守り当番。先ほど、プール道具の大きなバッグをぶら下げ、のんびりのんびり歩く1年生らしい最後の児童を見送って家に戻り、つい、冷凍庫のハーゲンダッツをご褒美に食べてしまった。私は夏でもあまり冷たいものは飲みも食べもしないのだけれど・・・。

 

7月まるまる雨模様という年もあるのに、今年は早々と6月のうちに梅雨が明けてしまったそうで、この夏は水は大丈夫なのかしらと心配になる。電気も逼迫しているから節電をとしきりに騒いでいる。去年だってかなり暑かったはずだが、オリンピックの大騒ぎだけで、節電のセの字も聞かなかったように思うが、摩訶不思議なことである。

 

摩訶不思議と言えば、参院選立候補者への政策アンケートにほとんど答えられない人が、選挙戦の分析では圧倒的優位にいるという世相も不思議だ。まだ選挙権がなかった十代の頃、自民党が断然強い地方に比べ、東京には革新系の知事さんがいて、やはり都会の人はスマートだな(今では考えられない感覚だけれど)と思ったものだが、今や東京も大阪も摩訶不思議な魑魅魍魎の世界と化してしまった。

 

さてさて、そんな浮世の憂さを忘れる楽しい読書となった『シャルロットの憂鬱』を紹介したい。主人公のシャルロットは、まだ4歳ながら股関節に障害が出たため警察犬を引退した雌のジャーマンシェパードだ。

 

飼い主は、不妊治療にも挑戦したものの、今は自然に任せようかという心境に至った浩輔と真澄夫妻。田舎暮らしがしたいと転居した親の家を譲り受けたので、庭もある一戸建てに住んでいる。

 

子供のいない寂しさが、犬でも飼ったら少しでも慰められるかとは思ったが、飼った経験のない真澄は小型犬しか考えていなかった。初心者だからかえって成犬で、しかも警察犬としてしつけも訓練もされた子を飼った方が楽だと叔父に薦められ、その気になった。そうしてやって来たシャルロットは、確かにほとんど吠えもしないお利口な犬だった。

 

こうして始まる夫婦と一頭の犬という家族の物語。もともと『小説宝石』などに掲載された作品らしく、連作短編集のような作りになっている。各話ごとに事件とまで行かないちょっとしたできごとがあり、それをシャルロットを絡めて解決していく。推理を働かせるのは主に夫の浩輔だ。この浩輔さん、優しいし家事もごく当たり前にこなすし、そのうえこの頭の回転の良さ。実に素敵なパートナーだ。高校の同級生というのが、いかにも納得がいく、爽やかで非常に好感の持てるカップルだ。

 

週末に夫婦で出かけるドッグランのある公園で、シャルロットは大好きな雄のジャーマンシェパードと大喜びで遊び、浩輔たちは他の飼い主さんたちと交流をする。こうした話の中で、犬種による違いやその犬固有の性格も分かり、ペットを飼う責任についても考えさせられるようになっている。いつか飼いたいと思っている人にはとても参考になるし、飼えなくても、シャルロットの表情が目の前に見えてくるような楽しい物語だ。

 

大好きだったテレ東の深夜ドラマ『シェフは名探偵』の原作者の近藤史恵さん。こんな素敵な作品も書いていらした。続編もあるらしいし、他の作品も読んでみたくなった。