昨日は地域の文化協会の企画の「工場見学」の日だった。目的地は、市の南西部にある海沿いの工業団地の中にある新来島豊橋造船所。
私は30年ほど前、当時かかわっていた日本語教室の学習者の中に、造船所で働いているブラジル人の男性がいて、その人が造船所の見学会のイベントを日本語教室の皆に紹介してくれて、希望者と共に参加したことがある。その時は当時建造中の大型船の中を見学させてもらった。
その時の造船所は「カナサシ造船」だったので、豊橋に造船会社が2つあったのかと思ったのだけれど、今回の見学で配られたパンフレットの会社沿革で、平成21年に商号変更でそのカナサシ造船が株式会社新来島豊橋造船となっていたと知った。
同じ造船会社を30年の時を経て見学することになった訳だが、今回は船の中には入れず、室内でDVDを見ながらの説明を受け、その後マイクロバスに乗って、ディズニーランドほどという広い敷地の中を説明を受けながら回った。
この案内をしてくれた総務の男性は入社5年目の27歳とのことだったが、なかなか軽妙な案内ぶりで分かりやすく楽しかった。社会見学で来る小学校5年生を案内することはしょっちゅうだけれど、今日のような「お兄さん、お姉さん」の案内は初めてですとまずは笑いを誘った。
この大きな会社の中で1000人ほどの人が働いていて、そのうち社員は2、300人であとはいわゆる下請けの会社の人。そして日本人は半分ほどで、かなり様々な国籍の人が働いているそうだ。中には日本人以上の技術を持つ人も少なくないとか。
先日次男と話した時にも出た話題だが、いま日本のいろいろな現場で外国人が働き技術を身に付けている。その人が日本にずっと住み続け、その技術をまた伝えていってくれればいいが、国に帰るなりまた別の国に職場を求めて行ったりすると、日本の技術は日本から消えていってしまわないだろうか。そういうところまで、政治は考えているのだろうか。
平らな単なる鋼板を、加熱と冷却によって曲げていく作業である鐃鉄(ぎょうてつ)は大変難しく、人間でなければできず、そして一人前になるのには15年くらいかかるということだった。大変だろうけれど、ホワイトカラーになるよりもはるかに魅力的だなと、職人仕事やガテン系の仕事の好きな私は思った。
構内には大小たくさんのクレーンがあり、最大のものは高さ80メートルほどで、進撃の巨人を例に話され、反応の鈍い「お兄さん、お姉さん」に「小学生にこれを言うととても盛り上がるんですけど・・・」と苦笑いされていた。
船の鋼板の厚さは2センチほどで、一般的な缶詰の大きさにすると缶の厚さより薄く、だから船は空き缶より浮きやすいのだという説明など、全体的に非常に具体的で分かりやすい話だった。それでも、燃費は1リットルあたり20mという驚くべき数値だが、ガソリンは200万リットル積めるので、一度満タンにすれば地球1周でもできるとのことだった。
まだまだ興味深い話があったが、私にしては珍しくすでに1000字を超えているので、そろそろこれくらいにする。天気にも恵まれ楽しい見学会だった。
ところで、この催しのために集まった朝、やはり投票日の翌日ということもあり選挙の話をしている声が聞こえて来た。投票率が43パーセントほどで、そのうち長坂候補の得票が30何パーセント、つまり有権者の15パーセントほど。それでアリーナを中止するのかと言っているのが耳に入った。
やはりこういう声が出てくるのだなと思った。政府はこんなことを、いやこれ以上にひどいことをジャンジャンやって、それでも国民からの不満の声は大して大きくもならないのだけれど・・・。新市長、なんとか頑張って欲しい。
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