あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

前向きでい続ける難しさ

3年目に突入したウイルスとの闘いに、さらに2か月ほど前からはロシアの武力侵攻が加わって、じわじわとコロナのボディブローに侵されてきた身にはつらいことだ。

 

長いこと毎日更新を続けていらしたブロガーさんの更新が途絶えたと思ったら、ワクチンの副反応は治まったものの、気力がわかないとのこと。非常に共感する。もともと出不精で変化の少ない生活の私だけれど、特別なことがなくても心が動いていれば、何かしら綴ることはあった。けれど、近頃私もかなり気持ちを引き立てないと書けないことがある。

 

昨年の暮れあたりから続けている「スリーグッドシングス」―できたこと、楽しかったこと、感謝すること―の記録も、考えて考えて、それでも何も浮かばない日も少なくない。

 

春期のドラマもだいぶ始まったが、今のところ私の心を慰めてくれる作品はあまりなさそうだ。しいてあげれば、当地ではメーテレテレビ朝日系列)が放送している『ねこ物件』だろうか。

 

まだ1回だけなのでこれからどんな展開を見せるか分からないけれど、両親を早くに亡くし祖父と暮らしてきた働いたことのない主人公が、そのおじいちゃん亡き後、2匹の猫と、自宅を猫付き物件としてシェアハウスにして暮らすというお話は、のんびりまったりと続きそうだ。主人公を演じる古川雄輝さんは実生活でも2匹の猫と暮らしているそうなので、あまり出演の猫ちゃんたちにも負担をかけないようにしてくれるのではないかと期待する。

 

こんな日々に、昨日の呆れる言葉はさらに神経を逆なでするものだったが、ブログ更新のあとに、SNSで批判の声を上げたのが女性だと知ってさらに驚いた。てっきり、受講者始め主催者・関係者などその場は男性ばかりだったのだろうと思っていた。女性の受講者のいる前であのような下品な言葉を平気で吐ける神経とは、一体全体どういうものだろう。

 

暗いニュースや、人を傷つけたり貶めたりする言葉のあふれる世の中なのだから、せめて明るい気持ちになるブログを書きたいものだと思う。けれどもユーモアセンスも乏しく、なかなかそうした楽しい話が綴れない。

 

せめて最後に、月曜日の朝ニュースで見た楽しい恐竜レースを。

 

 

 

呆れた言葉

前回は興ざめな言葉だったけれど、今度は呆れた言葉。

 

www.j-cast.com

 

ネット上で目にしたタイトルが本当にあった事とは思えず、クリックして読んだ。おじさんたちの私的な飲酒の席での発言でも人品を疑うが、なんと大学で開催される社会人向けのマーケティング講座での言葉だと言う。

 

この講座は、29回で受講料が38万5000円だそうだ。1回1万円以上の講座でこのような講師の話を聞かされた受講者はどんな気分だったろう。SNSに嘆きの投稿をしたくなるのもうなづける気がする。

 

講師の吉野家取締役が、自社のマーケティング戦略の「男に高い飯をおごってもらうようになれば食べないから、田舎から出てきて右も左も分からないうちに牛丼中毒にする」ということのたとえとして使った言葉らしい。信じられないような「生娘シャブ漬け」という下品な言葉を抜きにしても、この講師の若い女性のとらえ方には嫌悪感を感じてしまう。

 

そもそも政界と同じく財界も「マッチョ」な体質だと思っていたし、一時期、就職には体育会系が圧倒的に有利とも聞いていたが、さすがにこうした場でこのような不用意な発言ができてしまう人が、取締役にまでなれてしまう企業というものに驚き呆れた。

 

さすがジェンダー指数156か国中120位、先進国(本当にこの国は先進国のくくりに入れていいのか?)最下位の国だ。

 

 

おじさんぽいからって、こんな下品発言のおじさんと一緒にされるのは勘弁ニャッ!

(「ねこのきもち」さんのサイトから)

 

興ざめな言葉

いつものごとく、録画視聴。京都の良いものを紹介する番組で、今回は「京焼」の紹介をしていた。近頃は民放のバラエティと見まがうような作りの番組が多いNHKだが、珍しく正統派と言うか、地味な構成の番組だった。

 

そんな質実な番組の中に、思いがけない方から思いがけない言葉が飛び出し、少々面食らった。かなり年季の入った絵付師の方が、茶碗の絵に色を入れたあと金で縁取りをする作業の説明で、「この金を入れないと、ダサくなるんですわ」と仰ったのだ。

 

私が勝手に職人さんを神聖視しているのであって、ご年配の職人さんとて現代に生きていらっしゃるのだから、現代の話し言葉を使われても何ら不思議はない。ないのだけれども、いささか興ざめな心もちになるのはどうしようもなかった。

 

「させていただく」の連発やら二重敬語やら、とかく〇〇を付けたくなるほど丁寧な言い方がもてはやされる一方で、親しい仲間内での言葉と、不特定多数を対象にした場での言葉の区別がなくなっているのは不思議な現象だ。

 

人のことはすぐ聞きとがめるが、自分とてどんな話し方をしていることやら、こっそり録音されたものを聞かされたら、さぞや鏡の前のガマガエルのごとく脂汗も冷や汗もたっぷりかいてしまうことだろう。

 

 

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番組で紹介していた、野々村仁清の「色絵藤花文茶壺」。

5年越しでやっと花の咲いたライラック

建物の外壁塗装リフォームの時、共用部分で勝手に楽しんでいるガーデニングだから、あれこれ業者に注文を付けるのもはばかられ、作業しやすいように好きになさってくださって結構ですと言った結果、庭木はすべて丸坊主になった。

 

復活したものもあれば、それっきり消えてしまったものもある。寂しくて、やっぱりあんな物分かりの良いことを言うのではなかったと、少々後悔もした。

 

そんな中で、意外にもライラックは早々に復活の芽を出し、年々成長を見せて嬉しく思っていたが、今年とうとう花を咲かせた。リフォーム工事が2017年だったので、じつに5年越しだ。

 

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よく頑張って咲いてくれたねと、なでてやりたいほど。

 

 

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こちらは伐採される前の2017年のライラック。その向こうに見えるモッコウバラは消滅してしまった。復活したライラックがこれくらいに戻るのには、まだあと10年以上かかるだろうか。

新年度の開講です

1か月ほどの春休みを挟んで、今日から2022年度の日本語教室がスタートした。

 

前年度の終わり近くに入った3人のアフガニスタン人の学生たちは、駅前で今年度新たにスタートした土曜夜のクラスに通うことになり、登録者は一人ひと講座しか受けられないという決まりがあるためこちらは抜け、私たちの教室は再び生徒さんよりスタッフのほうが多いという元の状態に戻った。

 

休みに入る前はまだ寒かったのに、会場であるアイプラザ前の桜はすっかり葉桜になり、薄物一枚でちょうど良いような気候になってしまった。季節は移り、生徒さんも減ったけれど、全員元気な顔を合わせることができ何よりだった。今年こそコロナによる休講という中断を入れることなく、年間を通して勉強することができるといいけれど。

 

帰りにまたアンプレシオンでパンを買う。

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今日はキッシュロレーヌともろこしパン。家で見ると、キッシュがお店で見た感じより大きくてびっくり。確実にカロリーオーバー!

 

本からつながる愛『配達あかずきん』大崎梢著

先日読んだ『サイン会はいかが?』が良かったので、同シリーズの最初の作品である本作をリクエストしておいた。届いたという連絡が市民館からあり、早速受け取り、そして読了した。

 

駅ビル6階に位置する成風堂書店を舞台に、正社員の木下杏子と法学部学生でアルバイトの西巻多絵のコンビが、周辺で起きる事件や謎を名推理で解いて見せるお話だ。

 

毎回素晴らしい推理力を発揮する多絵は、プレゼント用の包装を3回も失敗してしまうような不器用さだが、本作に登場し、配達先で事件に遭遇してしまうアルバイトの博美はおっとりのほほんのとんちんかん。

 

それでなくても現代の書店は大変だと言われているのに、こんなバイトさんばかり雇っていて成風堂さんは大丈夫?と心配になってしまうが、でも、自分の生活圏に複数の書店がありその中に成風堂があれば、迷わず成風堂を利用するなと思う。本はどこで買っても同じだけれど、こんな魅力的な店員さんが揃っている成風堂は、ひいきのお客さんがいっぱいいることだろうと思う。

 

収録の5つの作品

「パンダは囁く」近所の独居老人に頼まれた本を買いに来た男性が見せたメモは、まるで暗号のようだった。「あのじゅうさにーち いいよんさんわん ああさぶろうに」。杏子と多絵はこの謎を解き、その裏にあった大変なことに気付く・・・。

 

「標野にて 君が袖振る」成風堂のお得意様の老婦人が失踪したと、その娘が手掛かりを求めて杏子のもとにやって来る。額田王の歌が出てきたり、光源氏のような美男の高校生が登場する、ロマンあふれる物語。

 

「配達あかずきん」成風堂の定期配達先である美容院ノエルで事件が起きる。発端は成風堂が届けた雑誌だ。店の責任問題にもなりかねない事件を、杏子と多絵が解き明かしていく。そうしているうち、ノエルに届けた博美が駅の階段から落ちるという事故も起き、やがてそれは事故ではなく故意に突き落とされた事件だと分かる。一体誰が何の目的で・・・。

 

「六冊目のメッセージ」仕事人間でプライベートではろくに本も読まなかったという女性が、「長期入院中、母親が届けてくれた本が楽しくて救われた。母は成風堂の店員に選んでもらったと言う。母は田舎に帰ってしまったが、その素敵な選択をしてくれた人にお礼が言いたい」と成風堂を訪れる。けれどもそれらしい店員は成風堂にはいない。名探偵コンビが調べていくと、意外な人が浮かび上がり・・・。

 

「ディスプレイ・リプレイ」出版社の販促活動のディスプレイコンテストに、将来は広告業界志望というアルバイトの角倉夕紀が興味を示す。学校の友人たちとぜひやってみたいと言うので応募することになる。素晴らしいディスプレイが出来上がるが、翌日無残に黒いスプレーをかけられた姿で発見される・・・。

 

どれもみなそれぞれに面白いが、私は「六冊目のメッセージ」が最も心に残った。本を送られた女性、その本を選んだ人、どちらも人物像が好もしく、それゆえ物語の展開もすんなりと受け止められ、心を動かされた。シリーズ第2作の『晩夏に捧ぐ』が届くのが待ち遠しい。

 

 

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今日、墓参のあと食べたちょっと豪華なお昼 「季節の料理長おすすめ弁当」

 

今月の献立は

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家の中でもマスク、と戦争映画のこと

少し前からヒノキの花粉が飛び始めたことを感じてはいたが、今日は私としてはいささか症状がひどく、目のかゆみの他に、くしゃみが連続して出てしまう。

 

で、家の中だというのにマスクをしている。

 

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可愛いマスク猫ちゃんみっけ!  (MONOTONEさんのサイトから)

 

 

友人が映画『ひまわり』のDVDを借りたから見ないかと言って、持ってきてくれた。何十年も昔に見たけれど、広大なひまわり畑の印象しか残っていない。そのひまわり畑の撮影地がウクライナということで、いま再び話題になり、支援を兼ねての上映会など催されているところもあるようだ。

 

出征したきり生死不明の夫は生きていると信じて、言葉も分からない他国を訪ねていった妻の前に、自分より若い女(リュドミラ・サベーリエワがローレンと好対照!)の夫となり、可愛い子供の父ともなった男が列車から降り立つ。その姿を目にした時の妻ソフィア・ローレンの表情。そして思わず、動き出していたその列車に飛び乗ってしまい、座席で号泣する・・・。

 

自分の生存を信じて生き、はるばる探しに来た元の妻を思い、また凍死寸前だった自分を救い愛してくれた現在の妻と、そして子供を思えば、男のほうもどんなにつらいことだったろうと思う。戦争の生んだ悲劇の一つの側面。

 

これより一週間ほど前、やはり戦争に関連した映画で『ラストレシピ』というのをネットフリックスで視聴した。アカデミー賞で世界的に注目された西島秀俊さんが、一度食べた味は決して忘れず再現できる、「麒麟の舌」を持つ伝説のシェフ山形直太朗の役で出演している。

 

そのたぐいまれな資質と料理の腕を買われ、満州国大日本帝国食菜全席」を完成せよという命を受け、山形は新婚の妻(宮﨑あおい)とともに満州国に渡る。しかしその命は建前に過ぎず、実際には恐ろしい陰謀が隠されていた。

 

戦時下の軍部の策略に翻弄され、ただ美味しいものを食べたときの人々の幸せそうな顔を見ることが喜びだった山形の人生が狂っていく・・・。これも、戦争のむごさを側面から描いて心を揺さぶる良作だった。

 

けれども、どんな感動的な作品が生まれようと、もう決して新たな戦争は始まってほしくない。なのに、いま現実に、私たちは日々新たな悲惨を目にしなければならなくなっている。とにかく、一日も早くそれを止めるために、いったい何をすればいいのだろうか。