小学校か中学校の家庭科で一日に必要な栄養素というものを学び、以来どうしてもそれにとらわれてしまって、それでなくても得意でない料理を、ますます面倒なものにしてしまう。
でも、そんなに厳密に考えなくても、「一週間くらいの期間の中でバランスが取れていればいい」という考え方を知って、近頃はなるべくそうしたゆるさを心掛けている。
私は神経も太く大雑把なくせに、ある部分に関しては妙にキッチリしなければ気が済まないところがあって、自分で自分を不自由にしていた。
たとえば、裁縫では、2枚の布を合わせて待ち針を打つ時、ただ打つと上と下の布で微妙にずれが生じ、上の布は印ピッタリに針が通っているが、下の布はほんのちょっと(1ミリに満たないくらいなのだが)ずれる。それが気持ち悪くて、変な努力をするというふうだった。
ところが、子育て中に好きで読んでいた『すてきなおかあさん』という雑誌に「近視眼的な裁縫をやめよう」ということが書かれていて、霧が晴れたような気がした。私はなんてつまらないことにこだわっていたのだろうと。
それから急激に気楽に裁縫と向き合えるようになり、子供の服から人形・インテリア雑貨そして自分の普段着まで、子供のお昼寝の時間や、帰りの遅い夫を待つ時間など、寸暇を惜しんで編み物の他に裁縫も楽しめるようになった(ただし、小さな子もいる生活ゆえ、針の本数のチェックなどは神経質に行った)。
洗濯物の干し方とか、洗面所のタオルのかけ方、玄関の靴やトイレのスリッパの並び方などもキッチリしていないと気持ちが悪い。けれども、大勢に影響ないもの、こだわる意味のないものについては、なるべく気にしないように心掛けるようになった。
料理についても、私はあまりに近視眼的なのだと気づいた。もともと繊細な味覚を持ち合わせないので才能はないのだけれど、おっくうにさせているのはこの変な細かさにも原因がある。材料を切るにしても、切ったものを鍋や器に入れるにしても、いちいちキッチリを意識しすぎる。不器用なくせに妙にキッチリしたいので、余計に手間がかかる。おまけに栄養バランスにまでとらわれる・・・。
刻んだり器に移したりもおおらかに、栄養は一週間くらいでバランスが取れ必要量が足りていればよいと、何事も「ゆったり、ゆったり」を心掛けて、一つひとつを楽しめるようでありたいと思う。
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話は横道にそれるが、先述の『すてきなおかあさん』という雑誌は、文化出版局が当時創刊した若いお母さん向けの雑誌で、おそらく団塊世代が子育てシーンに入ったのを狙ったのであろう、既存の主婦向け雑誌よりちょっとお洒落な雑誌だった。
毎月とじ込みの絵本ページがあり、田島征三さんの『やぎのしずか』はここから生まれた。料理はご自身も子育て中だった小林カツ代さんが、簡単で美味しい料理を紹介していらした。
この本が取り上げる赤ちゃん服は斬新で可愛くて、私も真似して編んだり縫ったりした。大好きだったのに、あまり販売が振るわなかったのか、数年で廃刊になってしまった(私は青森に転居して舅たちと同居となり雑誌どころではない生活に・・・)ようで、今検索してもほとんど関連記事は見つからず残念だ。
アタシはバランスよく食べますよ!パスタもヨーグルトもOKです。Goサインはまだですか? byドリーム