あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

おどかすとおびやかす

先週の土曜日だったと思う。土曜日の朝5時台はNHKのニュースがないので、日テレのNNNニュースを見ていた。たぶん北朝鮮のミサイル発射のことだったと思うが、アナウンサー(記者だったかもしれない)の「世界の安全をおどかしかねない」という声が耳に入った。

 

えっ、安全をおどかす?確かに、「脅かす」は「おどかす」とも読むけれど、ここは「おびやかす」でしょう!と思った。

 

人間以外でも、まあ、犬や猫なら「おどかす」も分かるけれど、さすがに抽象的な概念である「安全」は、どう頑張っても「おどかし」ようがないと思う。不特定多数の人に言葉を届ける仕事に携わっていながら、言葉に無神経な人が案外多くて残念だ。

 

Eテレの『100分de名著』の「いのちの初夜」の第一回(録画)を見ていたら、以前この番組の司会をしていて、番組の中で出合った本に影響されて医師を志し、医学部に入り直した島津有理子さんが語りをしていた。その中に「垣根」という言葉が出てきて、島津さんは「カネ」と、中高(真ん中にアクセント)に発音された。

 

違和感を感じて調べてみると、さすが島津さん、やはり中高で正しかった。私の「平板」の感覚は、三河の方言の中で培われたものかも知れない。

 

そう言えば、「たきび」という童謡の歌い出し、♪かきねのかきねの曲がり角・・・の「かきね」は中高のメロディーになっている。昔の童謡や唱歌は、ちゃんと歌詞のアクセントに配慮した作曲になっていることが多い。最近の曲はアクセント無視どころか、単語の途中にブレスさえ入ったりするけれど。

 

味覚は大雑把なのだけれども、どうも言葉にはこまかい私だ。料理人が美味しさのために細心の注意を払うように、言葉を扱う仕事をする人は、言葉にもっと注意を払ってもらいたいなあと思う。