あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

海辺の文学記念館

今日は蒲郡旅行の二日目を記す。

 

朝食の時刻は7時半、8時15分、9時と3種類あり、私たちは8時15分を選択。高齢者の朝は早いから、余裕があればテラスでお茶にしてもいいわねなどと言っていた。

 

夜は姉も私も睡眠のための薬(私はストナリニS)を飲みながらもなかなか眠気は訪れず、結局12時近くまで話していた。そして翌朝カーテンの隙間から光が漏れ入る頃に私は目覚めたが、隣で眠る姉を起こさぬようそのまま横になっていた。スマホを用意しなかったので時刻が分からない(どれかのボタンを押せば、ヘッドボードに時計が表示されるのかも知れないが)。

 

トイレに行きたくなって起き出し、バッグからスマホを取り出して時刻を確認すると、なんと7:40と表示された!それからの私たちの慌てぶりをご想像あれ。

 

そして、そんなドタバタはまるでなかったかのように、昨夜と同じメインダイニングルームで優雅な朝食をいただく。バイキングでないのも嬉しい。トーストもオムレツも美味しかった。

 

チェックアウトを済ませ荷物を預けて、売店で買い物をしたり、シルクハットのドア・マンの方と写真を撮ったりしたあと、今日のメインの観光スポット海辺の文学記念館に向かう。

 

 

この記念館は、滝信四郎が創業した蒲郡クラシックホテルの前身である料理旅館常盤館の跡地に建っている。建物自体は、明治43年に建築された岡本医院診療所が建て直しのために取り壊されることになった際、これを蒲郡市が譲り受け、町づくりに活用するべく、再現保全した建築物として平成9年に建てられたものだ。

 

滝信四郎氏の旅館経営は独特で、高名な文人に無料で宿泊してもらう代わりに、この常盤館や竹島のことを作品の中に描いてもらったのだそうだ。最も早くに作品内で取り上げた菊池寛を始め、志賀直哉谷崎潤一郎山本有三川端康成井上靖三島由紀夫など多くの作家や文化人が滞在し、作品やエピソードを残した「料理旅館 常磐館」の趣を再現した文学歴史記念館になっている。

 

また、Twitterで果敢に政権批判のツイートを発している芥川賞作家平野啓一郎氏が蒲郡のご出身とあって、この記念館の開館20周年の記念のイベントで講演をなさっていて、関連の展示物もあった。

 

入館は無料だが、有料で抹茶とコーヒーのサービスがあり、また「時手紙」という2か月後から最長で10年後に自分自身や家族など指定した人物に送れる手紙を、来館者本人の希望する年数に応じて保管したのち、指定期月になり次第発送するという面白いサービスも行っている。

 

文人たちが用いた眺めの素晴らしい部屋が再現されていたり、小さな施設だけれど姉も姪っこも大いに満足していた。ここを訪れるのは2回目の私も、十分楽しかった。和服姿の職員の方にタクシーを呼んでいただき、予約しておいた手打ちうどんのお店に向かう。

 

明治36年創業という手打ちうどんのやをよしさん

 

風情ある中庭

 

アサリたっぷりの蒲郡うどんをいただく。

 

このあと豊橋駅に向かい姉と姪は新幹線で帰路につき、夢のような二日間は終わった。