あとは野となれ山となれ

たいせつなものは目に見えないんだよ

絶滅危惧の大家族物語

先日marcoさんが『0.5の男』を紹介していらした。その時ちょうど私は家族に冷たくあしらわれる雅治くんが可哀そうになってしまって視聴を休んでいたのだけれど、marcoさんの紹介文に励まされ、再度観始めた。あらすじはぜひこちらで。

 

garadanikki.hatenablog.com

 

全5回ということもあって2晩ほどで一気に観てしまったのだけれど、ほのぼのとする展開でとても楽しかった。そして今や絶滅危惧の状態なのだろうし、実際すればしたで問題も多いのであろう大家族だけれど、確かにこうした良い側面もあるのだろうなという気がした。

 

それと言うのも、親にとっても心配の種であり他の家族にとっても迷惑でしかないような雅治が、変わり始めるきっかけになったのが5歳の甥っ子蓮くんだからだ。以前『柚木さんちの4兄弟』でご紹介した四男の賢くて可愛い岳くんを演じていた永瀬矢紘くん(『0.5の男』の時は加藤矢紘)が、岳くんとは正反対とも言える、片時もじっとしていないやんちゃ坊主の蓮くんをそれはそれはのびのびと演じていて魅力的だ。

 

この甥っ子になつかれることで、保育所の送り迎えなどでしぶしぶ家から出ることになる雅治。そうして出向いた保育所には可愛いけれど結構率直な保育士田崎瞳(西野七瀬)さんがいた。

 

親の都合で2.5世帯暮らしとなって転校を余儀なくされ、新しい学校や級友たちになじめずにひきこもりになりかけている姪っ子の恵麻も、初めの頃こそ雅治を「キモイ」「キモイ」と毛嫌いするけれど、結局雅治を変える大きな力になる。

 

親子の確執のクッションとして祖父母が登場する物語は多いが、この物語には祖父母は登場せず、代わりにこの姪と甥が重要な役割を担っている。私自身も一時期両親と兄夫婦と3人の甥っ子という大家族で小姑として暮らし、ワイワイと暮らす楽しさを知っている。70年とか80年前なら、2.5世帯どころか3世帯同居も珍しくなかったことだろう。

 

そういう生活が敬遠され「核家族」というものが生まれ、いまやその核家族さえも嫌われて、一人世帯が最多の社会となった。大家族で発生する問題は激減しただろうが、代わりに家庭内暴力という問題が生まれ、その後ひきこもりという問題が生まれ、そうして8050が大きな社会問題になっている。

 

全てが解決される最強・最善の策などはないし、人は社会や国のために生きるわけではないので、どんな生き方を選ぶかは全く自由であるべきだ。でも、かつての大家族の暮らしにあれこれと不満なことがあったように、気楽で自由な一人暮らしにもいろいろ問題があることもまた確かだ。

 

たった一度の人生を、あなたはどう生きますか?

 

キーマンの恵麻ちゃんと蓮くん。 (coco infoさんのサイトより)