あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

若々しい蔵之介さんの『ハンチョウ』

私の地域では、いまテレ東チャンネルで今野敏原作の『ハンチョウ』のシリーズ1の再放送がされている。TBSで最初に放送された時に見て、確かその後再放送でも見たので今回は3度目になるのではないかと思うが、結構楽しんでいる。

 

シリーズが進むにつれて少々薄味になるが、やはりこの最初のシリーズは素晴らしい。佐々木蔵之介さん演じるハンチョウ始め、部下の5人の刑事もみなとびぬけて優秀だとか変わり者だとかではない常識的な人間たちだけれど、チームワークの良さや互いの信頼感が心地よい。

 

そして何より良いのが、発生する事件や事故の裏にある人間の物語が温かく心を打つ。公園で宝飾店の女性社長が殺される第一話の「自首」で、自分が犯人だと名乗り出る女を演じた市原悦子さんは特に素晴らしかった。夫を看取った後、アパートで独り暮らす高齢女性の寂しさに胸を締め付けられた。

 

この他にも「存在しない男を愛した女」や「鬼と呼ばれた家政婦」など、ゲスト出演者の魅力も加わって見ごたえがある。ハンチョウの同期で親友、白バイに乗る交通課係長を演じる細川茂樹さんや、ハンチョウの行きつけの飲み屋の女将の奥貫薫さんも、欠くことのできない味わいだ。

 

13年ほど前の作品だが、近頃ダークな役どころが増えてきた蔵之介さんが、まだかなり若々しく、そして部下に対してはもちろんのこと、犯罪者に対しても誠実で温情のある好漢を清々しく演じている。

 

 

ついでの記録。NHKのBSを利用している方は昨年ご覧になったかもしれないが、『忠臣蔵狂詩曲No.5中村仲蔵出世階段』を総合テレビの再放送で見て、めっぽう面白かった。芸能の力を再確認させる素晴らしい作品だった。興味のある方は、こちらはNHKプラスでまだ視聴可能。