あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

不思議なドラマの不思議な俳優さん

NHKの夜ドラで不思議なドラマが始まった。原作はコミックらしい。『褒めるひと褒められるひと』という「褒める」ことがテーマの作品のようだ。

 

市川詠子(森川葵)25歳。ある玩具会社の総務部勤務。ふだんはきっちり仕事をしても大して評価されないのに、ちょっとした失敗でコテンパンに怒られて、落ち込んだ彼女がつぶやいたのは「褒められたい…」のひと言。それを先輩の坂東さん(川崎鷹也)に聞かれたことから、市川さんの“褒められる日々”が始まった・・・という物語。

 

この市川さんを、インド象の目のようだとか忍者だとか果ては孫の手だとか、およそ褒め言葉とも思えない不思議な語彙で褒めまくる坂東さんを演じる川崎鷹也さんという方が、この不思議な先輩役に非常にはまっていて楽しい。

 

本業はシンガーソングライターで、ドラマ出演はこれが初めてとか。NHKさん、よくぞこんなにピッタリな人を見つけたものだと感心する。どのチャンネルのどの時間を見ても、テレビに出る人はこうも少ないのかと思うほど同じ顔ぶればかり見ることが多いけれど、こうして新しい顔と出会うのは嬉しい。

 

10年以上昔になるけれど、『チェイス国税査察官~』というドラマに殺人犯役で登場した井浦新さん(当時はARATA)の不穏な雰囲気の衝撃は忘れられない。『浪花の華~緒方洪庵事件帳~』では主人公が当時まだ無名だった窪田正孝さんで、その爽やかな魅力は大抜擢の力も大きかった。どちらもNHKで、こういう新たな人材の発掘をもっともっとしてほしいと思う。

 

悪役で衝撃を受けた井浦さんや吉田鋼太郎さん(『ギルティ~悪魔と契約した女』)に比べると、ほんわかドラマののほほん人物で衝撃というのは初めてのケースで、川崎さんが役者として大成するかどうかはまだ分からないけれど、初見で衝撃を受けた役者さんは、やはりのちのち活躍されていることが多いので、川崎さんの今後に期待したい。

 

『褒める・・・』は驚くほどゆるゆるのドラマなので呆れて離脱する人も多いかも知れないが、今の私にはこんなゆるいドラマが心地よい。