あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

恥知らずの国

ネット上で少なからぬ人が、この国はすっかりひどい国になってしまったと嘆いている。そうした言葉に出合うたび、私もこくこくと頷かずにはいられない。

 

かつてルース・ベネディクトは「日本は恥の文化」と言い、その端的な指摘は当の日本人にも広く深く受け入れられたが、いまやもうすっかり恥知らずの国になり果ててしまった。

 

世の中の上つかたの人々が、あからさまに自分の欲得まみれのことを言い、行い、恬として恥じない。権力に抱きこまれたマスメディアは、そうした道に外れた行いを批判しようともせず、ただ大本営発表を既定のこととして報ずるのみ。

 

庶民もまた自分の興味・欲得にまっしぐらで、必要な情報を知らせようとしないマスコミに文句を言うどころか、彼らの発信するパンとサーカスに夢中だ。

 

西洋人から見て、支配者層から庶民まで「恥」を重んじると見えたのは、この国に「お天道さま」とか「世間さま」が生きていたからではないかと思う。誰も見ていないようでも、お天道さまが見ている。道に外れることをしたら、世間さまに笑われる・・・。信仰もあまりなく自我という意識も弱い日本人は、こうして外に厳然たる規範を作り自らを律していたように思う。

 

ところがいつからか、あるべき建前を言う人より、身も蓋もない本音を言う人の方が称えられるようになった。そうしてお天道さまは単なる恒星の一つにすぎなくなってしまい、世間は互いに興味も関心もないばらばらの人間の寄り集まりにすぎなくなってしまった。

 

どんな手段で儲けようが、どんな下品なお金の使い方をしようが、とにかく大金をつかんだものは「セレブ」ともてはやされる。カルト教団とつながっていようが、立場を利用して税金で票を買うに等しいことをしようが、選挙に勝ちさえすれば官軍だ。

 

ベネディクトが現在の日本を見たら、何と言うだろう。インタビューしてみたいものである。

 

 

やだ、恥ずかし~!  (ネコジルシさんのサイトより)