あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

驚きの世界の入試

『ニュー試 世界の入試で未来が見える』はこの7月にレギュラー放送になったようだけれど、その始まりの番組で、2022年の1月15日に放送されたもの。今年の1月17日に再放送されたものを録画で見た。とても面白い内容だったので消去せず残してあるのだが、テレビが故障すると同時に録画は見られなくなってしまうので、記録のために内容をまとめておく。

 

大学世界ランキング上位のフランスやイギリス・アメリカの大学の入試問題を取り上げ、本田望結フィギュアスケート選手・女優・撮影時高校2年生)・伊沢拓司(東大出のクイズプレーヤー)・福田麻貴(吉本興業のタレント「3時のヒロイン」のリーダー)の3人がこれに挑戦する(本田さん以外は知らなかったので検索した)。この3人の回答者が答えるという番組の構成は、民放のバラエティーの型の安直な踏襲で知恵も工夫もなく、その人選も含めてちょっと残念。

 

 

アメリカ シカゴ大学 

試験科目はエッセイ:テーマ「あなたにとって水曜日とは?」

これに対し、受験者は3~5か月の期間内に書く

求めている学生像:創造性のある人 爆発力のある人 将来ノーベル賞を取れる人

 

 

フランス 

大学の入試はなく、国家資格のバカロレア(高校卒業試験)の合格が必要

バカロレアの必須科目として数学や物理などの他、最も重要なのが哲学。

問題「芸術に無関心であることは可能か」制限時間4時間で1問 長時間なので食べ物の持ち込みもOK。

 

フランスは教育熱心な国で、国家の一般予算のうち最も多くを占めるのは教育費なのだそうだ。「学んだあとに必ず自分で考えないといけないという教育」とは元アナウンサーで現在フランスで暮らす中村江里子さんの言葉。

 

フランスの教育の基本として、批判的精神や世界に開かれた目を持つことを学ぶ上で、最も象徴的な科目が哲学なのだそうだ。

 

名古屋大学教育学部の渡邉雅子教授の言葉。「自分の頭で考えて結論を出して行動できる自立した市民を作るためなんです。これは、18世紀に起きたフランス革命後の血みどろの政治的な混乱を二度と起こさない。そのためにあらゆる可能性を吟味して偏った考えに執着しないために役立つと考えられています」。理想の社会に近づくためには哲学が欠かせないのだそうだ。

 

「哲学を学ばないなんてもったいない。考え方が身についていないと考えることができないので、例えば投票するとき正しい判断ができないと思う」とインタビューを受けた東京国際フランス学園高校3年生の女生徒は答えていた。なるべく考えない人間を育てたがっているような日本の教育とはまるで違う。

 

イギリス オックスフォード大学 (6年連続世界大学ランキング一位)

イギリス版大学統一試験のAレベルと、オックスフォード大学が行う筆記試験、この2つに好成績を取ったうえで、その中からインタビューに呼ばれるのは1万人。インタビューは面接ではなく教授との対話。この対話に正解はなく、どう思いどう考えたかそれを見る。

 

例として、番組では生物学科のインタビューの様子を紹介。ブラジルの火災があった所となかった所の写真を見せ、次に山火事から数日・数週間後の写真を見せて、ここから何が起きているか説明させていた。インタビューは30分で、質問はどんどん難しくなる。2000人の教授・教員を動員し、2週間以上、延べ1万時間をかけるそうだ。

 

大学の授業は学生2,3人に教授1人で対話しながら学ぶ個別指導型なので、その授業に対応できるか見極めるのがインタビューの目的で、「厳しい学術の世界を心から楽しんでくれる人材を求めている」と一人の教授は答えていた。

 

 

「子供の頃に遊んだ”かくれんぼう”は大人になると遊ばなくなる。なぜなのか」これは早稲田大学が2019年度に出した小論文の問題だそうで、日本の入試も変わりつつあるとのことだった。

 

少子化で定員割れを起こす大学も出てくる時代、フランスのバカロレアの様に、高校までの力がきちんとあれば、大学入試なしで希望の大学に入れる日が来てもいいのではないかと思うし、一定の学力があり真に学ぶ意思のある学生が、学費の心配なく学べる日も早く来てほしい。

 

 

オックスフォード