あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

終わってしまった

話題を呼んだドラマ『不適切にもほどがある!』が終わってしまった。最終回が楽しみでもあり寂しくもあるという作品はそれほど多くないが、このドラマは本当に楽しませてもらったし、まだしばらく繰り返し見そうな気はするが、もう新しいものが見られないのは残念だ。

 

最終回の「この作品は不適切な台詞が多く含まれますが時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み2024年当時の表現をあえて使用して放送しました」というテロップは実に気が利いていて、放送中には昭和を懐かしむおじさんたちのための・・・というような意見もあったようだけれど、みごとにそんな狭い視野を飛び越えてしまった。

 

いつのまにか「コンプライアンス」にがんじがらめになってしまった現代の息苦しさをうまく掬い上げて、それでもそうした中で救われている人がいることもきちんと描いていた。

 

「させていただく」の乱用や、「よろしかったでしょうか」などのおかしな言葉遣いをちくっと皮肉ってくれたのも私には嬉しく、エモケンさん、いや、クドカンさんってこんな素敵な脚本を書く方だったのだと、すっかり認識を新たにした今作だった。

 

最終回のメッセージ「寛容になりましょう」も、昭和が良かったでも令和がいいでもなく、いつの時代であっても、さまざまな大変なことがある中で、お互いに思いやりを持ち、寛容に許せるところは許しあって、なるべく気持ちよく暮らしましょうということで、本当に良い着地点だった。

 

毎回細かなところまで楽しませる工夫があって、意外性に富んだキャストも楽しく、さらにそのキャストの皆さんが、楽しんで演じている雰囲気が伝わってきて、見ているほうも幸せだった。

 

笑わせて楽しませながら、親子の情愛をしっかり描き、とりわけ高校生の純子とテレビ局で働くシングルマザーの渚の、年齢の逆転した母娘のシーンは、その切なさに毎回胸が締め付けられた。

 

先日『そしてバトンは・・・』で、血のつながらない親子の愛情にも感動したばかりだけれど、血がつながっていようといまいと、あるいは親子であろうが友人関係であろうが、要は、人と人のつながりなのではないかという気がする。同性婚で養子を育てても、思いやりや寛容でそこには素晴らしい愛情が生まれることだろう。

 

蛇足で付け加えれば、「炙りしめ鯖200皿」が私には「ツボ」で、最終回にまたこのギャグに出合えたのも嬉しかった。ありがとうございました、クドカンさん!そして演者の皆さん、スタッフの皆さん!

 

 

♪寛容になりましょう~

 

Twitter時代からバンバン政治的発言をしていた宍戸開さんが、最終回に出演されたのも嬉しかった。