リニューアルのため長らく休んでいた豊橋市美術博物館が、この春やっとオープンした。開いたらすぐ行こうと思っていたのに、3月に開館していたのを知らずにいて、オープン記念展は終了してしまった。
数日前には、長男のパートナーのもとに送ったはずの誕生日プレゼントが我が家に届き、あわてて少し品物を足して発送し直した。日にちに余裕を持たせておいたのが幸いし、かろうじて間に合った。
なぜこうもおっちょこちょいなのだろう。
今日はその美術博物館ネタで、16年も前の、今はなくなってしまった「Yahoo!ブログ」に綴ったブログを再掲する。
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出かけるのが苦手な私ですが、
今日は珍しく小雨模様のなか外出しました。
行く先は豊橋市美術博物館。
開館30周年記念展「上村松園・松篁・淳之展」を見るためです。
この3人の展覧会は名古屋でも一度見ましたが、
それぞれ素晴らしく、とりわけ淳之さんの優しそうな鳥たちには惹かれます。
その淳之画伯の講演が今日なのですからがんばって出かけないわけにはいきません。
講演は先着250名となっているので、
あまりゆっくり見ていると入場できなくなってしまう、と少々絵を見るのに気が散ってしまいました。
やはり絵を見る日とお話を伺う日は別にするべきでした。
松園さんの作品が一番多く、ついで松篁さん、淳之さんのはたった11点で少々残念。
でも、松園さんの「待月」という作品に出会えただけでも大収穫でした。
しかもこの作品は前後期で入れ替えのため今日が展示の最終日だったようです。
知らずに出かけたのだけれど、今日行って本当に良かった!
後期には「花がたみ」がありますが、これは名古屋で見たからいいとしましょう。
松篁さんの「金魚」にもまた出会えて嬉しくなりました。
出目金さんたちがなんとも愛らしく、
彼らの楽しいおしゃべりが聞こえてきそうで、思わず笑みが浮かんでしまいます。
松篁さんの「晩秋」、淳之さんの「初めての冬」。
どちらも魅力的な狐の絵です。
似ているのですが、微妙にそれぞれの画家の持ち味が出ているように思います。
松篁さんの鋭さ、淳之さんの愛しさ、どちらも甲乙つけがたい。
そして淳之さんの描く鳥たちは相変わらず実に優しい眼をしています。
本物の鳥は私はちょっと苦手なのですが、
あとで淳之さんのお話を伺ってなるほどと思いました。
鳥はそばに人がいると緊張する、だから厳しい目をしている、
でも自分には鳥たちは安心しきっているから優しい目をしているんですとおっしゃいました。
な~~るほど。
西洋の絵画と日本画の違い、
西洋人と日本人の自然との向き合い方の違いなどを、
気さくな口調で時折やわらかな京都なまりを交えて話され1時間半があっという間でした。
日本画への情熱、美を感じる心への強い思いなどがとても伝わってきました。
これからも作家の方々が感じとり表現してくださった美の世界で、
ともに遊ばせていただく至福のときを楽しみたいと思います。 2008.10.26
上村淳之さんの「憩」