NHKの『新緑輝く 美ヶ原高原』を観る。美ヶ原高原は、私が初めて「旅行」というものをした土地だ。
昔々のごく庶民的な家庭であった我が家には、家族旅行などというものはなかった。法事などで母の実家に行くのがせいぜいだった(もしかしたら、小さいときに父の職場の旅行に連れられて行ったことなどはあったかもしれないが、自分の記憶にはない)。働き始めて、同期の仲間と一緒に休みを取って美ヶ原・蓼科に出かけたのが初めての旅で、したがって思い出もひとしお強いものがある。
その美ヶ原は相変わらず美しかった。たくさんの電波塔がたっているのには驚き、時代の変化も感じたが、美しの塔は半世紀前そのままだし、のんびりと牛たちが草をはむ風景も変わらない。先日長男の伴侶と見た『パリジェンヌの田舎暮らし』の幸せそうだったフランスの牛たちと同じくらい、美ヶ原の牛たちも幸せそうだ。
私たちが宿泊した当時の山本小屋は、もう実に質素かつ素朴なもので、ホテルも旅館も知っていたわけではないけれど、山小屋というのはこういうものか!と大変驚いた。宣伝になってしまうからかその山本小屋は全く画面には出なかった(美しの塔のそばにあった一群の建物がそうだと思うが)けれど、ネットで見ると、「山本小屋ふる里館」と名前も改め、すっかり洗練されている。
映像を見ているうちに、もう一度行ってみたいという思いがムクムクと沸き起こる。来年の初夏あたり行ってみようか。私の今の体力で行けるだろうか。でも、画面にはかなり高齢と見られる方も少なからず映っていらしたから、大丈夫でなのではないか。なんとかもう少し元気でいなければ!
後ろの電波塔群が半世紀前にはなかったもの。 (信州Styleさんのサイトより)