あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

2012年劇場公開作品。ネットフリックスで鑑賞。

 

2005年に発表され、「9・11文学の金字塔」と評されたジョナサン・サフラン・フォアによるベストセラー小説を、「リトル・ダンサー」「めぐりあう時間たち」のスティーブン・ダルドリー監督が映画化。9・11テロで最愛の父を亡くした少年オスカーは、クローゼットで1本の鍵を見つけ、父親が残したメッセージを探すためニューヨークの街へ飛び出していく。第2次世界大戦で運命の変わった祖父母、9・11で命を落とした父、そしてオスカーへと歴史の悲劇に見舞われた3世代の物語がつむがれ、最愛の者を失った人々の再生と希望を描き出していく。脚本は「フォレスト・ガンプ 一期一会」のエリック・ロス。オスカーの父親役にトム・ハンクス、母親役にサンドラ・ブロックアカデミー賞俳優がそろう。

           ・・・・・以上、映画.comのサイトの解説

 

これもまた主人公はアスペルガー症候群を抱える少年だ。人とうまく関係を築けないオスカー少年を、父(トム・ハンクス)は「調査探検」という独特の手法で人とのかかわりを経験させている。父親に深く愛されていることを感じ、オスカーは父親に絶大な信頼を置いているが、9.11によって突然その父はいなくなり、少々ぎくしゃくした関係の母(サンドラ・ブロック)と取り残される。

 

死が目前に迫る中、父親は必死で留守番電話にメッセージを残していた。その電話の最中に帰宅したオスカーだったが、恐怖で身がすくんだのか最愛の父の最後の電話に出ることができなかった。このことを誰にも言えず、父を失った悲しみと絡み合って深い苦しみを抱えるオスカー。

 

おばあちゃんの家で賃料が払えず、彼女に叱責されている間借り人の老人(マックス・フォン・シドー)と知り合い、父親が遺した謎の鍵の秘密を求める調査探検の相棒とする。その老人は何か過酷な体験ゆえに声が出せない症状を抱えていて、オスカーとは筆談をするのだが、そのうちオスカーはその老人の肩をすくめるしぐさが父と似ていることに気付く・・・。

 

トム・ハンクスサンドラ・ブロックは勿論だが、難しい役柄のオスカー少年(トーマス・ホーン)が素晴らしかった。

 

9.11のあと、こうした物語がそれこそ何千何万とあったのだろうと思う。そうしたことをチラとでも想像できたら、あの飛行機の操縦者はビルに突っ込むことなどできなかったのではないか・・・。いやそれでもなお、信じることのためには実行できたのだろうか。

 

優しさも非情さも持つ人間というもの。非情さをおとなしく眠らせたままにしておくには、やはり平和で穏やかな暮らしが必須ではなかろうか。だから、より多くの人がそうした平穏な生活をできるようにするのが政治なのではないだろうか。

 

手順を踏まない汚染水の放出で、またしてもいらぬ悪意を生み出してしまっている。海は世界につながっているから、その悪意は国内にとどまらない。