ストーブリーグとは、プロ野球のオフシーズンをさす言葉だ。スポーツとお金の嫌になるほどの癒着を目にしてきて、すっかりスポーツ嫌いになってしまった私だけれど、ネットフリックスのレコメンドで現れたこのドラマを、あらすじに惹かれて見始めた。
主人公は、万年最下位のプロ野球チーム「ドリームズ」に新しく着任したGМのペク・スンス。反町隆史さんから野性味を引いたような感じのナムグン・ミンという俳優さんが演じていて、なんとかこのお荷物球団を廃部にしてしまいたい上層部の次から次への嫌がらせを、毎回クールに解決しスカッとさせてくれる。私はスポーツドラマというより、仕事ドラマとして楽しんでいる。
それにしても話が進めば進むほど、この主人公のペクGМという人は、プライベートでも不幸が山盛りなのだけれど、そのつらさは全く見せず、いつも能面のような静かな顔つきをしている。それだけに、久しぶりに帰った故郷で母親に見せる優しい表情などの貴重な笑顔の魅力は反則級だ。
ドリームズは野球も弱いけれど、と言うか、内部が腐っているから結果的に勝てないのだろうが、球団を頭からお荷物扱いで何とか潰そうとしている上層部から、スタッフといい選手といい、みな勝手でバラバラだ。
上層部だけはさすがに主人公も簡単にどうこうできないが、スタッフや選手についてはバッサバッサと改革を行っていく。前半のこのあたりのストーリーは、組織やチームの運営にもかなり通じることではないかと思った。
主人公の片腕となって働く運営チーム長のセヨン(ウ・ヨンウ弁護士を演じたパク・ウンビン)は、正義感の強い元気な女性で、時に真正面からぶつかりながらも、GМを信頼してついていく。上司に対する信頼に、途中からちょっぴり女性としての好意も含まれ始めるようだが、あまり恋愛要素が強くならず好感が持てる。
選手のトレードや年俸の交渉など、現実にはこんなにうまくいかないだろうけれど、ドラマくらいアッと言わせる工夫や奇策でスッキリさせてほしい。あとはにっくき親会社の常務(途中から降格に遭い球団社長)をペクGМがどう料理してくれるか・・・楽しみに見たい。
蛇足:チーム長のセヨンと母親がリビングでくつろいでいるシーンで、ふざけて、ではあるが母親が「足で」娘を叩くところがあり、軽いカルチャーショック。
あと、韓流ドラマを見ていると、急成長をした韓国は、やはり競争や格差が日本以上に激しそうだなと感じる。特にそれをテーマにした作品でなくても、ドラマの随所にそのひずみや人々の疲弊を感じさせる部分がある。
さらに追加:日本のテレビドラマから韓流ドラマほど社会の危機感が伝わってこないのは、たんに日本の関係者の感度が低いだけかもしれない。あるいはお得意の忖度?