豊橋市長になられて３年余、今はどのようなことに心を砕いて市政に向かっていらっしゃるのでしょう。市長選に立候補なさったときのお気持ちはご記憶ですか。市民からの公開質問状に対し、「新アリーナは多くの市民の創意を得た形で考えていくべき」「場所は豊橋公園以外」と回答なさったことは覚えていらっしゃいますか。
同じ質問に対し、「新アリーナは総合体育館とアイプラザの老朽化対策のためにも欠かせない施設であり、豊橋公園での建設案を推す」と答えた当時の現職を大差で破って当選なさったのですから、この時の公約を翻して豊橋公園に新アリーナを建設するというのであれば、辞職なさって民意を問い直すのが筋だったのではないでしょうか。
それなのに、市民が昨年を上回る数の署名を集め、二度目となる住民投票条例の制定を求める請求をしたのに対し、「本条例を制定する意義は見出し難い」という市長の意見は、あまりにも市民を愚弄するものではないでしょうか。
先週の土曜日と日曜日、私たちはこの住民投票条例制定請求の声をさらに盛り上げるために、パレードや駅前での宣伝活動を行いました。その際に、「新アリーナなんてできたら困ります」と言う15歳の少年がいました。
それはそうです。市の楽観的な計算でも毎年5900万円もの赤字が見込まれ、一番の収入源であるはずの三遠ネオフェニックスの利用料は、チームがＢリーグから脱落してしまえばゼロになってしまうかも知れず、そうなれば年間１億円以上の赤字となってしまうでしょう。結果、彼のような若者たちにその赤字が税金という形でのしかかっていくのですから。
市民の憩いの場である大切な公園を犠牲にし、何百億もの税金をつぎ込んで、そうして作った施設を使って儲けるのは民間企業、赤字が出れば税金で補充する･･･多大な犠牲を払うわりには、市民にとって魅力的なリターンは少ないように思います。
新アリーナ計画の発端は総合体育館の老朽化問題だったと思いますが、そもそも一般木造住宅ならいざ知らず、このような施設を30年ほどでゴミとして解体してしまうのがおかしいのではないですか。補修や改修をして使い続けることはできないのでしょうか。
市の人口はすでに減少に転じており、今後も減少はしても増加は期待できないと思います。作れば必ず維持管理の費用が発生する大きなハコモノの建設は、今まで以上に慎重になるべきです。しかも高度成長期に整備したインフラの補修の必要も、これから続々と出てくるのです。
この国の公的事業は、いったん動き出すと撤退ということを知りません。ここ豊橋と似たような問題が、全国のあちらこちらで起きています。ぜひ、豊橋から勇気ある撤退という良き前例を作っていただきたいと思います。
もう一度、３年前の市長選に立候補なさった時のお気持ちに、戻ってくださることを期待しています。
ここに12,700平方メートル、高さ25メートルの巨大な新アリーナが建つ。
