あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

雪国の温かさ

先日、録画しておいた『ドキュメント72時間 札幌 雪道を走る灯油配達車』を見ていたら、終盤で灯油配達車が突然停車した。何事かと思うと、道路わきの雪に突っ込んでしまって立ち往生している車がいた。その車に手助けするための停車だった。

 

配達員はすぐ自分の車からシャベルを持ち出して、その車の所に飛んで行く。車の下の雪をシャベルで掻き出し、他の人も加わって車を押すと何とか動き出した。車の主は手伝ってくれたみんなにお礼を言って去り、解散。配達員はすぐさま灯油の配達の仕事に戻る。「雪国ではみんなお互い様ですからね」とロケのスタッフに話しながら。

 

その場面を見て、何十年も前のことを思い出した。私もこんな風に何回も助けられたことを。この車と同じように道路わきの雪の山に突っ込んだこともあれば、交差点の真ん中でエンストしてエンジンがかからなくなったり、ゆるい坂道の交差点で、信号は青になったけれど滑って発進できず押していただいたこともあった。反対に私が押す側になったこともあったが、圧倒的にお世話になった記憶の方が強く、多い。

 

運転の下手な私が雪道で運転していたなんて、自分のことながら、もう今となっては信じられないような気さえする。車を使わなければ仕事にならず、仕事をしなければ食べていけなかったのだから、人間その気になれば何でもできるものだとしみじみ思う。

 

そしてそれ以上に、ちょっとタイミングが違っていたら、運が悪かったならば、今ここにこうして生きていなかったかも知れないという場面も一再ではなかったのだから、今日まで無事に暮らして来られたことを感謝するばかりだ。

 

日に日に春めいてくるこの頃、青森では子供の入学式が結構な雪だった年もあったが、それでもあと一か月と少しすれば弘前城の桜が咲く季節になる。たくさんの人情に触れた雪国での暮らし。思い出すたびに私の心も温かくなる。

 

 

以前もご紹介した十和田湖の雪の回廊。これでも昔よりは雪が少ないと言っていた。