あとは野となれ山となれ

たいせつなものは目に見えないんだよ

伸びやかな太一に力をもらう

伸びやかな太一くんが登場するのは、テレ東の深夜ドラマ『ひだまりが聴こえる』だ。またしてもコミック原作で、7年前に実写の映画にもなっているらしい。今回は実写版の連続ドラマ。私の知っている役者さんは主人公航平の母親役の西田尚美さんと、航平の友人になる太一の祖父役のでんでんさんくらい。あとの若い人は知らない人ばかり。

 

主人公の航平は聴覚に障害があるが、今までの聴覚障害者のドラマと大きく違うところは、彼が中学生のとき高熱が長く続いて突発性難聴になり、治療まで2週間以上経過してしまったため障害が残ってしまった中途障害者という点だ。それでよくあるような、手話でコミュニケーションをとるという話ではない。

 

視覚障害者も点字が読める人は1割くらいと言われるが、聴覚障害者もやはり手話が利用できる人は2割もいない。視覚障害者には音訳サービス、聴覚障害者には要約筆記などのサービスが必要な所以だ。

 

このドラマでは中途聴覚障害の航平が、大学の講義のノートをとる手伝いを太一に頼むようになるところから始まる。バイトを首になってお金も底をつき空腹を抱えていた太一は、大学の構内の目立たないところで一人で弁当を食べる航平に遭遇する。航平のお弁当はものすごく美味しそうだった。それもそのはず航平の母は料理教室をしている。その弁当を分けてもらって大感激する太一は、自分の分の弁当を用意してもらう代わりに、航平のノートをとるという契約を結ぶ。

 

耳が聴こえにくくなって以来、人付き合いを避けて自分の殻にこもりがちになっていた航平だったが、正反対とも言えるおおらかで明るい太一に強くひかれていく・・・。講義で先生の言った冗談が聴き取れず、周囲がどっと笑うなか疎外感を味わう描写など、航平の気持ちが私も少し分かる。

 

BLものらしいのだけれど、今のところは単なる爽やかな友情物語だ。今後どんな風に展開するのか分からないが、伸びやかな太一と繊細な航平の青春を見守りたい。