あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

つらい読書

日本語教室でのペルー人の女性たちとの話から、ノーベル文学賞受賞者のペルーの作家マリオ・バルガス=リョサさんを知り興味を持ったので、今そのリョサさんの作品『ケルト人の夢』を読んでいる。

 

本当は他の作品に興味を持ったのだけれど、豊橋市の図書館には蔵書がなく、それでどんな内容かも知らないまま、検索で一番に出てきたこの作品にした。

 

本作はアイルランド人でイギリスの外交官も務め、ナイトの称号も与えられながら、最後は反逆罪とスパイ活動の罪で絞首刑になった実在のロジャー・ケースメントを主人公にした伝記小説だ。

 

囚われの身となったケースメントの、コンゴ時代の回想から始まっているのだが、このベルギーのと言うか、当時のレオポルド2世のコンゴ支配の仕方があまりにも苛烈で、読むのがつらくなる。

 

今までshohojiさん(id:shohoji)のブログで、ベルギーがコンゴを植民地としていたことは度々読んではいたし、ヨーロッパ列強のアフリカに対する植民地支配や奴隷売買のことも一通り知ってはいたのだけれど、このように文学作品の中で具体的に描写をされたものを読むのは初めてだと思う。

 

動物に対してさえ、普通の人間であればこれほどひどい扱いは出来ないだろうと思うことが、アフリカの人たちに対して行われる。ゴムを始め、ヨーロッパ人が欲しがる産物や資源が豊かだったばかりに、純朴な原住民は悲劇などという簡単な言葉では表せないほどの目に遭ってしまう。

 

部族によっては人肉食をしていたり、ヨーロッパ人の思う文化的な暮らしをしていなかったかも知れないが、「宗教を教え、文化的な暮らしを教える」というのは、何と驕った考えか。しかも、それは上っ面の口実に過ぎないのだ。

 

つらくてなかなか読み進めないため、借りてからもう一週間以上たつというのに、500ページ以上ある大作の、まだ四分の一ほどしか読んでいない。今週返却日が来るが、延長して読破することができるかどうか、ちょっと自信がない。

 

こうしている今も、理不尽に人の命が奪われ続けている。ヒトはせっかく言葉というものを持ちながら、自分の考えを武力で通そうとする野蛮さから抜けられない。

 

そしてまた他のヒトたちは、武力こそ使わないが、金でもって相手の頬を叩き意のままにしようとする。これも野蛮で醜悪なことだと思う。

 

人類が生物の頂点に立つにふさわしいスマートな生きものになるのは、いつのことだろう。