あとは野となれ山となれ

たいせつなものは目に見えないんだよ

五話にしてエンジンが温まってきた感じ!

前作の『不適切にもほどがある』はとても面白かったが、今期のクドカンさんのドラマはまた以前の感じに戻ったのか私には合わないように感じ、そろそろ離脱も考えていたのだけれど、第5話はなかなか面白かった。

 

歌舞伎町が舞台なだけに、ネグレクトや母親の交際相手による性暴力などの問題はこれまでもあったが、加えて今回はかまぼこ型の意地悪ベンチやマイナ保険証を入れてきた。

 

そしてホームレスの「シゲさん」の治療の際に、主要登場人物のアメリカ帰りの女医ヨウコに、「金持ちも貧乏人も等しく医療を受けられる日本の医療制度は素晴らしい」と言わせている。彼女はまた、「なんでもかんでもアメリカの真似をするのが良いわけじゃない」とも言う。

 

ドラマが始まるとすぐに、ヨウコ役の小池栄子さんの英語について随分批判的な声も出ていたようで、なぜこうした設定が必要だったのだろうと思っていたが、ここへきてよく分かった。今回のこのセリフを言わせるためのアメリカ帰りのヨウコさん、だったのだ。

 

同時に、危篤状態のそのホームレスとあい前後して、選挙の応援演説中に倒れた副大臣が救急搬送される。どちらもECMOを必要としているのだが、空いているECMOは1台しかない。病院に着いていたのはシゲさんの方が先だったのだが、患者の優先順位は社会生産性によると言うその病院の医師。VIP優先だという論理に、ヨウコは憤りを感じながらもシゲさんに自分の出来得る限りの処置をする・・・。

 

エンタメのクドカンさんらしくあまり説教調になり過ぎず、単に物語の流れとして見せたのが良かったように思う。これからも政治は生活だよということを、さりげなく見せて欲しい。それから、この回のキーマン的なホームレスのシゲさんを演じていたのがずうとるびの新井康弘さんだったのも、私などの世代には感慨深いものがあった。

 

離脱どころか、この先に少々興味を覚えた『新宿野戦病院』第5話だった。