あとは野となれ山となれ

たいせつなことは目には見えないんだよ・・・

豪胆さと繊細さと

昨夜ネットフリックスで映画『引っ越し大名!』を見た。

 

引っ越し奉行を押し付けられる、おくてで本の虫の主人公片桐春之介は星野源さんだ。星野さんはもちろんはまり役で文句なしに素晴らしいが、すべての点で正反対の人物、幼馴染の鷹村源右衛門を演じた高橋一生さんが、ちょうど今放送中のドラマ『恋せぬふたり』の繊細な役柄とは対照的で、とても楽しかった。

 

ほんの数分しか出てこない執念深い柳沢吉保向井理さんが演じるなど、他の配役もなかなか豪華だ。松平直矩(演:及川光博)自身が書き残した書物も現存するようで、史実を下敷きにコミカルに演出され、武家社会の裏側を楽しく見せてくれる。

 

監督は犬童一心さんで、私は『ジョゼと虎と魚たち』や『メゾン・ド・ヒミコ』などの作品が印象に残っている。

 

どこの藩も、この片桐春之助のような質実な藩経営を心掛ければ、江戸幕府も弱体化しないで済んだかもしれないと思うのだけれど、とかく腐敗しやすい人間というものをうまく制御するシステムは、さすがの徳川家康も構築できなかったのだろう。

 

 

ところで話はそれるが、『恋せぬふたり』の高橋一生さん演じる「高橋」は、アセクシュアルという、他者に対して恋愛感情や性的欲求を抱かない人物で、物事に対していつも冷静かつ論理的に対処する。そんな人物が、前回は「ちょうど北海道展やっていたので」とか「修学旅行ぶり」などと口にしたので、少々がっかりしてしまった。

 

調べると脚本は吉田恵里香さんという34歳の方で、この年代の、特に女性であれば、こうした言葉遣いがもう当たり前になってしまっているのかもしれないが、そこはやはり脚本家という職業柄、役柄にふさわしいセリフの書き分けを期待してしまう。オンエア前に、違和感を感じる人は誰もいなかったのだろうかと残念に思う。あるいは、こうしたことにいちいち違和感を感じてしまう私がおかしいのだろうか。

 

 

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