あとは野となれ山となれ

たいせつなものは目に見えないんだよ

見事な紅葉に酔う

旅の三日目。朝、宿に友人が車で迎えに来てくれる。前日歩きすぎて人工関節の入った右足が重いので、車で回れることがとてもありがたい。

 

当初この旅を計画した5月には、10月の初旬くらいが良いかと思っていたが、友人の都合もあって下旬になった。10月も終わり頃になれば早い年は雪もちらつくし、紅葉も終わってしまうだろうなと思っていたのだけれど、今年は津軽もいつまでも暑い日が続いたようで、この日案内してくれた城ヶ倉大橋の紅葉は最高潮という感じだった。

 

本当は一日目に夕食を共にした友人と3人で温泉泊のつもりだったのだが、ひとり都合が悪くなったため、宿泊は2人でということになった。そのもうひとりも、なんとか時間をやりくりして初日の会食となった。

 

城ヶ倉大橋(青森県の観光情報サイトより)。肉眼で見る紅葉はこれ以上に美しかった。

 

冬季には5メートルの雪に埋もれる酸ヶ湯温泉。そこに併設されたそばの店鬼面庵で、つなぎを使わずそば粉100%で、八甲田山の湧き水で締め風味抜群と人気の酸ヶ湯そばをごちそうになる。

 

その後、友人の地元であり私が婚家で12年を過ごした場所でもある町に行き、変わらぬ懐かしい風景や、すっかり様変わりした風景などを楽しんで、この日の宿のある大鰐へと向かう。運転は友人のパートナーさんがしてくれているので、友人と私は心置きなくおしゃべりに興じる。

 

大鰐はスキー場のある町で、婚家にいた頃は子供たちと度々スキーに訪れた場所だ。温泉の町でもあり、ここでも明治5年創業の登録有形文化財の温泉に泊まりたかったのだが、5月の時点ですでに満室で予約することができなかった。

 

今回利用した不二やホテルも大正15年創業の結構古いホテルだが、建物はもう新しいものに変わっており、大浴場も露天風呂も非常にゆったりとして快適なものだった。お料理は女性・高齢者向きという、少量でも美味しいものを種類多くというコースを選んだので、食べきれないということもなく(私は炊き込みご飯を残したが)、目でも舌でも大いに楽しんだ。ふだんは9時か10時で眠くなってしまうことが多いけれど、この日友人とは日付が変わるころまで話し込んだ。

 

翌日チェックアウトを済ませると、友人のパートナーさんが車で迎えに来てくれて、弘前の駅ビルをブラブラと見たりして楽しむ。別れの時間が近づき友人とハグをすると、思わずこみあげてくるものがあった。お互いに元気でいればまた会えるからと、再会を約す。

 

前回の2007年は長男一家と一緒だったので、津軽を離れてから一人で気ままに訪ねるのは今回が初めてで、ほぼ「年ごろ思ひつること果たし侍りぬ」という心境だ。このブログをまとめて、やっと私のセンチメンタル・ジャーニーが終了という気がする。

 

 

友人が酸ヶ湯温泉の土産物店で「今回の旅の思い出に」とプレゼントしてくれた津軽金山焼きのマグカップ。このカップでコーヒーを楽しめる日が早く来てほしい。