本・動画感想
ネットフリックスで2019年日本公開の映画『グリーンブック』を視聴した。 1962年、天才黒人ピアニストドクター・シャーリーは、粗野なイタリア系の男ニック・ヴァレロンガを運転手兼用心棒として雇い、アフリカ系アメリカ人旅行者用の旅のガイドブック<グリ…
コロナの影響を受けず、予定通り昨年東京オリンピックが開催されていたら、どんな読書になったのだろう。物語は2020年、オリンピックの開会式まで10日を切った東京で、ある新聞社に1本の電話が入ることから始まる。 電話の声は、「開会式の日、都内を走るト…
幼馴染の二人の女性の物語。一人はおとなしく引っ込み思案な望月チエミ。もう一人はなんとなく周りとの違いを感じている神宮司みずほ。みずほは神経質で教育熱心な母親のもとで育ち、子供の頃、家が近くて仲良しだったチエミの家庭が親子非常に仲が良く、と…
「常識人ぶってる方がやべー奴なのだ」主人公の三歩、図書館勤務25歳女性、の心の中のつぶやきだ。だいたい私はこんな言葉遣いをする女性は嫌いだ。そしてこれに限らず、本書はこのような軽いノリの今どきの表現に満ちている。そういう文章を書く作家が好き…
ネットフリックスで映画『ワンダー 君は太陽』を見た。難病物はあからさまなお涙頂戴であることも多いので少々構えてしまったが、安っぽさに流れない気持ちの良い作品だった。評価の高さも頷ける。 遺伝子の突然変異のため、顔面の骨格が未発達で生まれてし…
高校時代、健(たける)は教師たちには「グレている」「要注意の生徒」と見られていた。その高校の修学旅行で、狭い国立文楽劇場の座席に縛り付けられるようにして鑑賞することになった文楽。前夜も大阪のホテルを抜けだし、仲間と遅くまで道頓堀界隈をぶら…
今日は筋トレもウオーキングもさぼってしまい、いつもなら夜は読書をしないことにしているのだけれどそれも破って、山本リンダさん(若い人は知らないだろうな)じゃないけれど、もうどうにも止まらない~♪という状態だった。523ページの分厚い本を一気読み…
『草葉の陰で見つけたもの』という、著者二十歳(はたち)の時の作品を読んだ。工業高校を出て勤めた会社を辞め、初めて書いたこの作品で、いきなり小説宝石新人賞を受賞したという作品だそうだ。 受賞作である表題作と、『電子、呼ぶ声』という2つの作品を…
いかにも幸せそうな題名、明るい装丁、そして冒頭ののどかな描写で、すっかりほのぼのしたお話だと思って借りた。 そうしたら、思いがけない展開を見せた。ある一つの家庭の話だ。祖母と、その祖母がいまだに溺愛しているのであろう父親と、その男の若き日の…
「神田紅梅亭寄席物帳」という副題の作品で、この前に『道具屋殺人事件』という作品があることを、読んでから知った。けれども、いきなりこの作品からでも十分楽しい。 主人公は、寿笑亭福の助という二つ目の落語家とその妻亮子。福の助の現在の師匠は寿笑亭…
第一日曜日の今朝は町内の清掃日だった。そのあと今日は昨年から加わっているNPO法人の集まりがある。通知が来た時から、この日の午前中は忙しいなと思いながら出席の返事をし、足のない私のために理事長が途中のポイントでピックアップしてくれることも決ま…
以前女性作家の時代小説アンソロジーで出合い、気になっていた田牧大和さんの「鯖猫長屋シリーズ」、その始まりとなる巻をやっと読んだ。 hikikomoriobaba.hatenadiary.com 縄張り外の野良猫を寄せ付けない堂々たるボスぶりばかりか、祭りの日に永代橋が落ち…
私の乙川作品は現代ものから始まったと言えるが、元々は時代小説で頭角を現した方である。その時代小説で、時代小説大賞・山本周五郎賞・直木賞を次々と獲得したあとの、2003年から2004年頃に「小説現代」に掲載された作品を集めた短編集だ。 身寄りのないか…
好天に誘われて、いつもの松根油の松林の公園に花を見に出かけた。先週だったろうか、ポニーにまた会いたいと出かけたときはまだ蕾は固かったのだけれど、今日はすでに五分か六分咲きといった感じになり、風景が一気に明るく華やかになっている。 今日もサニ…
主人公は交通事故のために視力を失った女性ミチルと、気が弱いため職場で軽く扱われがちなアキヒロの二人。 ミチルには物心ついた時から母親はおらず、ずっと父娘二人で助け合って暮らしてきた。ところが青信号で交差点を渡っているとき信号無視の車にはねら…
久しぶりの浅田次郎さんの作品。六つの短編集で、どれも安定の内容だけれど、特に『切符』が心に残った。 両親が離婚し、広志は生まれ育った駒沢を離れ、恵比寿に住む父方の祖父に引き取られて二人暮らしをしている。父親は再婚し、母親も今度新しい男と所帯…
昨日は少々心細いことを書いてしまった。お天気屋の私には珍しいことでもないけれど。 夜になってふと、その気持ちの一端にあるものに気付いた。現在読んでいる『太宰治の辞書』だ。高村薫さんの人気の『円紫さんと私シリーズ』で、1998年の『朝霧』以来17年…
以前深夜にシーズン1が放送されていた時に見て気に入っていたこのドラマが、U-NEXTで見られるので目下シーズン2を視聴中だ。そしてそのU-NEXTの1か月のお試し期間が間もなく終了するので、急いで見ている。 慌てなくても有料で見ればいいのにと思われるか…
今朝の天気予報で今日は雨でしょうと言っていたので、栃木の山火事が消えるくらい降ってくれたらいいと思っていたが、ここ豊橋に関する限り期待したほどの降りではない。 午前に、歯の定期検診を兼ねたクリーニングの予約を入れているので出かけた。もう15年…
昨日に引き続いて北村薫さんの『秋の花』。 きちんと出版された本を読んでいても、ついつまらないところで引っかかってストレスを感じてしまうことの多い私だけれど、北村さんの作品はほとんどそういう思いをすることがない。 「円紫さんと私シリーズ」も、…
本を読むという行為の、これほどまでに深い喜び。 先を知りたいのだけれど、読み終わってしまうのが寂しい。どの作中人物とも別れがたい・・・。 北村薫さんの「円紫さんと私シリーズ」の第三巻、『秋の花』である。第一巻は5つの、第二巻は3つの物語の連作短…
NHKのオンデマンドを利用するのなら、絶対見たいと思っていたドラマがある。放送時にもリアルタイムで見ていたけれど、忘れられなくて、機会があればぜひもう一度鑑賞したいと思っていた作品だ。 今回U-NEXTで思いがけなくNHKの見放題パックを利用することに…
素敵な贈り物が届いて、今日はもう朝から夢中で読みふけっている。 豪華6冊セット! ほんわかとしていて、ちょっととぼけた味のあるタッチの絵。ストーリーも、猫を飼ったことのある人なら、ああ、そうそう・・・と思うような日常的な猫と人の情景だ。舞台が、…
ジャックというのは、アメリカのホールマークチャンネルのドラマ『こころ呼ぶとき』の、ヒロインエリザベスの恋人でありのちに夫となる騎馬警官の名前だ。 『こころ呼ぶとき』にときめく - あとは野となれ山となれ そのジャックがシーズン4から登場がなく、…
以前市民館の書棚で見つけ、タイトルにひかれて読んだ北村薫さんの『円紫さんと私』シリーズ。その時はシリーズものだとも知らずに最新刊だったものを読んでしまったのだけれど、期待通りというかむしろ期待を上まわる楽しい作品で、ぜひシリーズの他の物語…
『殴られた話』『キャミ』『亀と学問のブルース』の三篇が納められている。どれも同時に複数の女性を相手にする不実な男と、男の正体を知って傷つき、それでも男を忘れられない女の物語。男も女も私の好みではなく、読んでいてイライラした。 ちょうど『RBG …
木皿泉さんの『昨夜のカレー、明日のパン』は、もう何年も前から気になっていたドラマで、最近marcoさん(id:garadanikki)の小説のほうの感想を読んだりして、ますます見たい気持ちが高まっていた。 garadanikki.hatenablog.com 1月に購入したパソコンの特典…
このところネットフリックスの『こころ呼ぶとき~ホープ・バレー物語~』というドラマを楽しみに見ている。 これは20世紀初頭のカナダを舞台に、上流階級の暮らしを捨てて、教師になるために小さな炭鉱町へやってきたエリザベスの物語。娘を案じる富豪の父親…
市民館にリクエストして待つこと1か月余り。恩田陸さんの『祝祭と予感』が届いているという連絡がやっと来て、昨日受け取りに行ってきた。 『蜜蜂と遠雷』が500ページを超えるうえに二段組の大変なボリュームだったのと対照的に、こちらは186ページと、芥川…
新年の最初にご紹介するには少々毒が強い気のする作品だけれど、今日は5日、そろそろお屠蘇気分も振り切って日常に戻らねば!という気分の切り替えにはなるかも知れない。 年末に民生委員の用事で校区市民館に行った折り、図書室で吉田修一さんの『青春』と…